新しい町ができて、旨い蕎麦屋がやってくる。ちかごろの東京は、すこしずつ蕎麦屋の地図が塗り変わっていくかのようだ。
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▲大きなビルが密集してなんだか窮屈なシオサイト ▲その裏手には東京の胃袋・築地市場がある ▲電通本社ビルであるカレッタ汐留のレストラン棟へのアプローチは、こんな露路風 ▲通路に面した打ち場では、青い目の子供達も蕎麦うちを鑑賞していました ▲一茶庵といえばこれ。三色もりそば 三色もりそば 1,200円 そば焼き味噌 500円 コースメニュー 5,000円~ |
散歩をしていると必ず蕎麦を食べたくなるのは、江戸や東京を徘徊する人のDNAに、かつて蕎麦屋が格好の止まり木であったという記憶が刷りこまれているからではないのか? 最近町がドラスティックに変化している。新しいもの好きとしては歓迎すべき事態なのだが、散歩といえば蕎麦屋で休憩するという行為はツキモノであるので、設計するかた、テナントを募集する方、それぞれの立場で新しい町にはよい蕎麦屋を一所懸命に誘致していただきたい。これはガイドからの心からのお願いであります。 さて、話題の町はいくつもあるけれども、愛する築地に最も近い再開発地がシオサイトである。上2枚の画像は、シオサイトと築地市場の中間にある歩道橋からの風景。広角レンズで撮ったのにこんなに窮屈に映っているなんて、ちょっと世智辛い開発ですね(苦笑)。 本日は電通本社ビルが入ったカレッタ汐留に入居している九段一茶庵で一休みすることにします。 蕎麦屋というものは、、できれば隠れ家のような場所にひっそりと存在してほしかったりします。自分だけが知っているヒミツを、親しい友人にさりげなく教えてあげるというようなシチュエーションこそ、蕎麦屋に誰かを誘ったとき最も尊敬されるパターンなのでありますゆえ。 その意味でも九段一茶庵・カレッタ汐留店は合格点をゲットしているでしょう。どう見ても裏口にしか見えない露路を分け入り、とりあえず地下2階まで潜ってエレベータに乗って、素晴らしい展望をもつ上階のレストランフロアに直行するというアプローチ。誰がこんな悪魔の迷路のような経路を案出したかはわかりませんが、蕎麦屋の道筋としては王道を行っていると申せましょう。 エレベータを降りると、目の前が蕎麦を打つステージとなっていて、本日も青い目の子供達が職人さんの華麗なる麺棒さばきをくいいるように見ていました。子供達はお母さんに連れてこられたようで、最近の蕎麦がいかに国際的に人気が高いかが一目にして瞭然というわけです。 一茶庵のそばは、きりっと細くてなかなか粋です。本日いただいたのは柚子、芥子(けし)、せいろ(二八)の三色そば。最近のヘルシー志向と味覚の変化にあわせて、出汁を徹底的に改良して返しの割合も昔と変えましたとおっしゃる料理長の説明をうけ、ずずっと啜ったお蕎麦。確かな腕前のうまいそばでした。すこしだけ華やいだ汁は、そば湯とよく合って、旨い蕎麦を一気にたくりこんだあとの余韻を深く・静かに受けとめてくれました。 このように昼、ふらりと入るのもよし。夜、絶景を眺望しながら朋と一献傾けるのもよし。そば屋というジャンルを大きく超えた、「使える」名店だと思います。 九段一茶庵・カレッタ汐留店 東京都港区東新橋1-8-1 カレッタ汐留46階 03-6215-8300 地上200メートル!「日本一?空に近い」おそば屋さん。 |
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