そば/そば関連情報

蕎麦生産は、環境と関わる事ということを知った 2003年そば栽培の総括

ただ育てるだけでは済まない。環境や人間、そしてアレルギー問題まで、総合的な問題を解決していく中で蕎麦の生産がある。

執筆者:井上 明

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北海道産の蕎麦が品薄であるとウワサされる今年、幸いにも坂戸近辺では積算気温が高い値を示したらしく、蕎麦はまずまずの出来だった。例年の通り、蕎麦の味は安定的に旨いものであったが、さまざまな課題を残した今年の生産であった。蕎麦栽培を志される皆さんのために、ここに記録を残します。


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▲さてどんな出来映え?生粉打ちに思わず力がこもります

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▲半年間の苦労が飛ぶ!待ちに待った試食の瞬間

ただ育てるだけでは済まない。環境や人間、そしてアレルギー問題まで、総合的な問題を解決していく中で蕎麦の生産がある。

今年は川越蕎麦の会の収穫祭を築地で行いました。毎年利用してきた公民館が日程の都合でとれなかったためでしたが、地の利のよさからか、参加者がほぼ全員出席という大盛況でした。

ところで、今回の生産にはいくつかの問題点も発生し、今後どのようにしていくか皆で話し合いをしながら乗り越えていくことになりました。

まず収穫ですが、11/3という晴れの特異日に収穫を予定していたものの、 残念ながら当日は小雨が降ってきたためコンバインが運転できずに延期、 その後何度か調整を試みましたが、機材と人材と天候という三つどもえの調整となったため、結局適期の1週間後の収穫となりました。

そのため、残念ながら香りと色はかなり失われてしまいました。 でも、登熟の妙味というか、そんなものを感じる仕上りと なったと思います。

さて、今回の生産は別の角度からも試煉を受けた年でした。

それは、従前より生産者から収穫翌年のソバの落粒発芽が問題である事を 指摘されておりましたが、今年に至るまで有効な解決策が見いだせないまま でいました。

しかしながら、異物混入は、ソバアレルギーが問題になる中、表作の小麦全体を出荷できなくさ せるという大きな危険性をはらんでおり、抜本的な解決がなき場合、蕎麦栽培の 存続を再検討せざるを得なくなるというものです。

今年の川越蕎麦の会側の取り組みとしては、手作業による除草日程をスケジュール化し、 可能なかぎり人海戦術にて対応しましたが、やはり遠隔地にメンバーが足を 運ぶということになるため、きめ細かな管理が行き届かず、しかも作業量も圧倒 的に不足したことは否めませんでした。

そこで、来年からは、坂戸市のシルバー人材センターに業務委託し、その原資を 例年の会費とは別に徴収するという方向性で解決を図ることにしました。本件は すでに生産者の了承も得ていますので、来年からはこの方向で煮詰めていくこと にしました。

【実施データ】

□日時:2003.12.23(火・祝) 11時~15時頃
□場所:築地そばアカデミー

【分配データ】

今年の分配は、一口あたり玄そばベース6kg
粉にする場合は、歩留まりを見込んで5kg/口
さらに、粉はすべて製粉所にて500g入りのエイジレスパッケージ化 その負担金を150円/袋とした

また、配布は、すべて玄、すべて粉、粉と玄の半々を選べるようにした。

【製品について】

刈り時の適期を1週間逃しているため、香りと色は冴えないものの、 坂戸圃場特有の強烈なタンパク質感を感じさせる良好な仕上。品種は常陸秋ソバ
収穫祭当日の加水率45%


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