そば/そば関連情報

細く均一な蕎麦をきれいに仕上げるには(3ページ目)

なにしろ1.5mmという薄さに伸すのである。鏡面のように仕上がったノシ板の上で麺棒をころがすと、すーっと音も立てずに回転していく位の精度が欠かせないのである

執筆者:井上 明

蕎麦四方山噺

■高級家具の工程を経て精度を高めた尾州檜ノシ棒

ノシ板の相方であるノシ棒も正確さが命だ。まず、よく枯らしこんで、暴れがおさまった良材があることが第一のポイント。それを、高い工作精度をもつ注文家具工場の製造ラインで仕上げると、鏡面の上をすべるようにころがるノシ棒ができる。

ノシ棒イメージ

材料としては、檜のなかでも木曾の尾州檜(びしゅうひ)が、麺棒に適した用材であると言われている。 打ち手により、いろいろな考え方があると思うが、檜やヒバのように軽い用材のほうが、ノシの力を打ち手が自在に加減できて、極細の変わり蕎麦から、野太い田舎蕎麦まで、自在に打ち分けがきく。また、別の考え方として、黒檀などの重い用材を用い、ノシ作業の負担を和らげようという考え方もある。

さて、手入れだが、麺棒はノシ作業の間手でしごいて粉等を落として使う。その作業を繰り返す打ちに次第に手になじむよい麺棒に仕上がってくる。そして、オカラを柔らかい布で包んでタンポ状にしたもので拭うと、その僅かな油分が麺棒の表面に膜を作り、具合がよろしい。また、わずかに胡桃の油を用いる方法もある。なお、ノシ棒を水で濡らすのは、狂いの原因になるので避けたい。また、衛生上、酸化しやすいサラダオイルなどを用いることもまずい。

ともあれ、ノシ棒は蕎麦を打ち人の宝物である、大切に扱っていただきたい。でも、所詮は道具なので、「耐久消耗材」という風に割り切る必要もある。どんなに手入れをしても、長い間には中心部だけが痩せてしまうなど、ノシ棒としての精度が維持できなくなることがある。その場合は、ノシ棒としてでなく「巻き棒」として利用すればよい。そのような事を考えると、ノシ棒はいつも何本か手入れをしたものを用意しておくのがよさそうだ。

川越そばの会では、F1ノシ板と尾州檜ノシ棒を取扱中

同会の蕎麦打ちセットは、すべてF1ノシ板と尾州檜ノシ棒を使用。さまざまなカスタマイズにも応じている。いまなら、セットまたは尾州檜麺棒を単品でお求めの方にもれなく、素敵なプレゼントがあるそうだ。
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