アルザスへ旅したような気分に
|
アミューズはアルザス名物とリル名物 |
席に着くと、まずはアミューズが。サーモンのスフレが入ったグジェール(プチシュー)と、アルザス名物・タルトフランベ(ベーコン&玉ねぎのピッツァのようなもの)。こちらをいただきながら、飲み物やお料理を決める、フランス式。フランスではこの決定に30分や1時間以上も悩む人がいます。なぜなら、フランス人にとって三ツ星レストランとは一生に一度行くか行かないかの、まさに夢の世界。そりゃ悩むってもんです。日本では飲み物・料理を決めてからアミューズが運ばれるところがほとんどですが、このように先に出てくると存分に悩めるのが嬉しいですね。
|
電話帳よりも分厚いワインリスト |
その悩ましいワインリストは、1989年世界最優秀ソムリエであり「リル」本店のシェフソムリエ、セルジュ・デュプス氏が監修。高級感あふれる箱を開けると、その数450アイテム・2,000本にのぼるワインが並びます。ワインだけでなく、ミネラルウォーターもペリエやサンペリグリノ以外に、当然のように「水のドンペリ」とも呼ばれるシャテルドンがあったりと、飲み物ひとつとっても、見事なラインナップ。
|
パンも美味。カトラリーはクリストフルで、皿はジャン・ルイ・コケ |
さて、今回いただいたお料理は、ランチコースのLE MENU DES VOSGES(8,400円、税込・サービス料13%別)。ユーロ高がすすむ現在、このお値段で三ツ星料理が味わえるのが嬉しいところ。ちなみにアルザスの本店はHPで見ると、お昼のムニュ(コース)で114ユーロ~(07年5月現在)。
・エスカルゴのフリット パルメザン風味のポレンタ添え |
素朴な良さを、この一粒に込めて |
日本人にとってエスカルゴというと、どうしても殻つきのブルゴーニュ風(パセリやにんにくを使ってオーブン焼きにしたもの)を思い浮かべますが、こちらではフリット、つまりフライにしてただきます。そのまま食べると、程よい塩気と渋みがマッチし、しっかりした味わい。パン粉にハーブを加えているので、爽やかな風味もあります。
これにポレンタ(とうもろこしの粉を混ぜたペースト)をつけて食べると、熟成パルメザンの旨みが強く、しっかりした味に。とうもろこしの食感も残してあり、素朴ながらもハッとするおいしさです。
・鴨のフォアグラポワレ アンディーヴのコンフィとパンデピス ポルト酒風味のソース |
ポルト酒の甘いソースをからめて |
フォアグラのシンプルなポワレです。表面をカリっと焼き、中はとろとろ。白みがかったフォアグラは新鮮な証ですね。本来、フォアグラのポワレはあまり好きではない僕も、これは嫌味がなく、アンディーブやパンデピス(蜂蜜とスパイス)のクルトンの食感と合わせておいしくいただきました。
次ページでは、
さらにディープなアルザスの料理をご紹介。