『志』のレストラン
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ハーブティーはもちろん、ポットで。サービスも充実のレストラン |
さて、冒頭で「繁華街に良いフレンチなし」という考えを持っていたことは述べました。しかし、このレストランは繁華街にも関わらず、料理・サービス・内装ともに、とても充実しています。今回、取材にあたってこちらのオーナーシェフ、そしてマネージャー両氏とのお話の中で、その理由がハッキリと見えてきました。それは『志』なのです。
レストランには料理がおいしいのはもちろんのこと、サービスや内装も同じくらい大事。ホールを取り仕切るのは、北野ホテルや「イグレック」出身のマネージャー。とにかく勉強家で、料理についての説明も適確すぎて「ご自分で作られたんですか?」と聞きたくなるほど。
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左側には10名までの個室。動線もよく考えられています |
また、インテリアデザイナー・阿部信吾氏による内装は、明るく、落ち着きとくつろぎの時間を与えてくれます。個室には専用の扉が設けられ、ホールを通ることなく出入りやお手洗いに行くことも可能。個室であることの意味がよく考えられています。さらに、特筆すべきは、ビルのトイレとは別に、女性用のトイレを作ってしまったこと。限られたビル内のスペースにも関わらず、脂とり紙や爪楊枝などのアメニティを揃えたトイレを作ってしまうところに、女性を大切にする場、レストランとしての志の高さがうかがえます。
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非日常感を経験するためのレストラン。紙ひとつにもこだわりが |
もうひとつ、付け加えたいのがレストランで使用される小物類。ゴブレットはちょっと大きめなのが難ですが、リーデル社のものを使い、ナフキンは通常の1.75倍はあるという特注もの。大きさがあるため、ひざに引っかかりやすく、落ちにくいのが嬉しい。メニューカードも厚手の特殊紙を使って、高級感を演出。こういった小物にまでこだわり、お客様に楽しんでいただこうという志が見て取れ、これこそレストラン、と感じます。
ミナミの定番レストランへ
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エレベーターを降り、エントランスに臨むと、外の雑踏と空気が違います |
料理は全体に軽めに仕上げていながらも、しっかりと旨みを凝縮したような力強さも持ち合わせています。パイ包みなどのクラシックな調理法で来るかと思えば、真空調理やコンベクションなどの新しい料理法にも果敢に挑戦。野菜というテーマを設けながらも、それに囚われず、食べ手のことを考えた柔軟な発想は、このレストランをミナミの定番レストランにしていくでしょう。「独立してみてどうですか?」と聞いたところ、「大変ですよ。自分でスタッフや看板を背負うということですから」と丁寧に答えられたシェフ。しかし、「もう一度、いち料理人に戻ってみたかった」と語る優しい眼差しには、やはり強い『志』が宿っていました。
<店データ>
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場所は心斎橋の鰻谷。1F「アラン・ミクリ」の横にひっそりとエレベーターがあります |
■「
リュミエール」
所在地:大阪市中央区東心斎橋1丁目19-15 UNAGIDANI-BLOCK 3F
TEL:06-6251-4006
定休日:月曜
営業時間:昼 11:30~14:30(ラストオーダー)
夜 17:30~21:30(ラストオーダー)
交通・アクセス:地下鉄心斎橋駅から徒歩3分
地図:
Yahoo!地図HP:
リュミエール近くのお店:「
牛匠 ひがし」(焼肉)