新しさ・おいしさ・美しさ

続いてはディナーコースをご紹介します。6510円のコースで、こちらはお昼にオーダーすることも可能。よりゆっくり召し上がりたい方には、お昼でもこちらがお勧めです。

・アミューズ:春キャベツとホロホロ鳥、フォアグラとキノコのプレッセ パテとカボチャのフリット
いきなり「おっ」と思わせるアミューズ。これからの料理に期待大です
いきなり「おっ」と思わせるアミューズ。これからの料理に期待大です
前菜と見まごうばかりに美しいアミューズ。ヨットのように手前のカボチャが刺さっているのがパテ。パテといえば、ビストロで食べる、脂多めの濃いものが一番おいしいと思っていたのですが、そんな思い込みを打ち破ってくれます。これも本当に丁寧に作られていて、ムラがない。きめ細かさを持ちながら、肉感をわずかに残しています。上品な味わいはレストラン料理としてのパテ。

奥がプレッセ。春キャベツ・ホロホロ鳥・フォアグラ・キノコを、コンソメなどのつなぎを使わずにプレスして、さっぱりと仕上げ。野菜がテーマのフレンチといっても、やはり大事なのはおいしさ。フォアグラを少し入れることで旨みを足し、野菜というテーマにとらわれず、食べ手のことを考えているシェフの柔軟さが見られます。ソースはブドウの種を乳化させたものと、12年シェリービネガーを使ったもの。どちらもさっぱりとした味わいです。

・前菜:平貝、ミル貝、トリュフの香り アルティショー そら豆を添えて
グリエしたホタテに、新鮮な素材を合わせて。シンプルな料理も幅広くこなすシェフの腕に驚きました
グリエしたホタテに、新鮮な素材を合わせて。シンプルな料理も幅広くこなすシェフの腕に驚きました
今度は温かい前菜。ぷりぷりとした新鮮な貝の共演に舌鼓。アルティショー(アーティチョーク)は、オリーブオイルでマリネした後、真空で火を通して焼き目をつけています。付け合せにも手を抜かない、料理への真摯な姿勢に拍手したくなります。これだけの工程を経ることで、旬のアーティチョークは瑞々しさを増します。シーズン最後のトリュフの香りとともに、うっとりするおいしさでした。

・魚料理:泡に隠れたヒラメのコンフィ、ラングスティーヌのポワレ 菜の花のピュレソースとともに
今度は新しい調理法で。「リュミエール」らしく、軽さを生かしつつ風味はしっかり
今度は新しい調理法で。「リュミエール」らしく、軽さを生かしつつ風味はしっかり
手前のヒラメのコンフィは、低温で火を通したもの。63~68℃という低温で加熱することで、水分を含んだままたんぱく質を凝固させるので、ふるふるとジュレのような食感になります。関西でこれを出す店は珍しく、最初に食べたときには驚かれるのではないかと思います。ラングスティーヌ(手長海老)も生の食感を残すように火通しして、ジューシーな仕上がり。

下には春の食材、ホワイトアスパラを。ヒラメにかけられた泡にもホワイトアスパラの甘みと苦味の織り成す旨みが生きています。オレンジ色のクリュスタッセ(甲殻類)のソースにも海の旨みがしっかり。彩り鮮やかな菜の花のピュレの緑もアクセントに。ランチコースのメインはトラディショナルなパイ包みでしたが、今度は新しい調理法を駆使した最先端の料理。目新しさも心地よい料理です。

・肉料理:フランス産エトフェピジョン(窒息鳩)の春キャベツ包み、モモ肉、京人参、赤レンズ豆のマッシュにレンズ豆を添えて アバのソース
春キャベツで旬を生かす、ヌーベル・キュイジーヌという伝統を継承
春キャベツで旬を生かす、ヌーベル・キュイジーヌという伝統を継承
肉料理は5種類からチョイス(一部プラス料金あり)。今回はシェフの春のスペシャリテを。フランス産の鳩とフォアグラを、春らしく旬のキャベツに包んでいます。付け合せのモモ肉は強めに火入れをして香ばしく焼き上げ、ハーブで風味付けた京人参のコンフィ、レンズ豆に赤レンズ豆のペーストを乗せたものなど。

塩2種類にブラックペッパーをお好みで
塩2種類にブラックペッパーをお好みで
また、別皿でイギリス産・マルドンの塩、フランス・ゲランドの塩、ブラックペッパーも出されるので、そちらはお好みで。鳩の臭みは丁寧に消してあり、噛んだときに渋みのある鉄分を味わって、初めてこれが鳩であることを認識させられるような、絶妙な下ごしらえ。フォアグラを添え、旨みを加えることで味がトゲトゲしくなるのを抑え、キャベツの彩りも美しい一皿に。アバ(内臓)のソースも添えられ、フレンチを食べこんできた方の舌と心にも響く、軽いだけではない鳩料理です。

・デザート:清美オレンジのクリーム、ジュレ、グラニテをオレンジの香る器に入れて ほのかな新茶の香り
味だけでなく、デザートに大事な見た目も愉快。驚きと楽しさを与えてくれます
味だけでなく、デザートに大事な見た目も愉快。驚きと楽しさを与えてくれます
キャラメルでできた筒の中身は、オレンジの皮を使ったカスタードに、カンパリのジュレ、オレンジの実、緑茶で風味づけたオレンジのシャーベット。オレンジというひとつの素材を四段活用。甘い・すっぱい・少し渋みを加えたものまで、見事に使いこなしています。もちろんソースもオレンジ。こちらにはコショウでアクセントを。素材を使いきりながらも食べ手を飽きさせない工夫がお見事でした。


次ページでは、このレストランが繁華街でも上質なワケをご紹介。