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パトゥ(神戸・元町)[ディナー編](2ページ目)

以前はランチをご紹介しました、神戸のフレンチレストラン。今回はディナー1万円コースをご紹介します。ごまかしのきかないストレートな料理は、「味で勝負」というフレンチ上級者にこそ味わって欲しいです。

執筆者:渡部 功平

ユニーク素材をより美味くするメイン料理

旬のきのこがたっぷり! “五島産赤ハタのポワレ 天然きのこ添え”
旬のきのこがたっぷり! “五島産赤ハタのポワレ 天然きのこ添え”
続く魚料理は“五島産赤ハタのポワレ 天然きのこ添え”。これまた色鮮やかな黄色いソースに、浮かぶ赤ハタ。うまいという地方と、まずいという地方に分かれる魚ですが、これは間違いなく前者。皮目パリッ、身がじゅわっ、の素晴らしい火入れで、食感のコントラストも旨みも、申し分ありません。また、添えられた旬のきのこは、何と7種類。黄金茸、ピエ・ブルー、シャントレール、プルロット、ピエ・ド・ムートン、ジロール、トランペットがソテーされており、それぞれに違った食感と味わいがあって、とても楽しめます。一つ一つが丁寧でおいしい上に、全体としても統一感のある、素晴らしい魚料理でした。

希少な首肉を使い、野菜の甘味とも相性抜群  “旭川産 えぞ鹿の首肉ロースト ソース・ポワブラード”
希少な首肉を使い、野菜の甘味とも相性抜群  “旭川産 えぞ鹿の首肉ロースト ソース・ポワブラード”
メインの肉料理は、“旭川産 えぞ鹿の首肉ロースト ソース・ポワブラード”。僕がこれまで食べた肉料理の中で、ベスト3に入る一皿です。こちらのレストランでは鹿を一頭単位で仕入れているのですが、この首肉は2~3人前しか取れない部位だそうです。今回はこれが食べられて本当に幸運でした。僕は鹿肉が大好きで、レストランでオンメニューされているとつい頼んでしまうのですが、普通のお店ではロース肉がほとんど。しかし、この首肉は、まったく違う味わい。首はよく動かす部分のため、ロース肉と比べると脂肪が少なく、肉自体の旨みが味わえるのです。弾力はありますが、けっして固いわけではなく、噛めば噛むほど旨みが出てきます。この素材と火入れ具合にはびっくりしました。

味でも食感でも、舌をリフレッシュ  “アールグレイのシャーベットとグレープフルーツ”
味でも食感でも、舌をリフレッシュ  “アールグレイのシャーベットとグレープフルーツ”
また、付け合せには芽キャベツ、カリフラワー、パプリカなど、色鮮やかに多種多様な野菜。これを、ブールバチューという野菜の甘味がしっかりしたソースで味付け。この甘めのソースと、鹿肉のポワブラード(黒胡椒)ソースのピリッとした辛さとのバランスが素晴らしい。お肉を半ば食べ終わったころには、このソースが混ざり合い、また新たなハーモニーを生み出したソースとなり、食べ手を飽きさせません。素材、火入れ、手の込みよう、すべてが素晴らしい一皿。続くグラニテの“アールグレイのソルベとグレープフルーツ”は、ソルベの甘さ。シャリシャリ感と、グレープフルーツの酸味・苦味が肉の味に慣れた舌の感覚を再度覚醒させるような、口休めとして完璧な一品。

次のページでは、ニンマリできるデザートと、シェフのお話をご紹介します。
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