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アラン・シャペル(神戸ポートアイランド)(2ページ目)

神戸フレンチシリーズ第3弾は「アラン・シャペル」。プチメゾンの多い神戸で、数少ないグランメゾン。現代フランス料理に多大な業績を残したシャペル氏の料理哲学を、素晴らしい夜景とともに堪能できます。

執筆者:渡部 功平

料理は素材を大切に、そして食べやすく

アミューズの、ウサギのパートフィロ包み。素材をいじらず、食べやすい味です。
アミューズの、ウサギのパートフィロ包み。素材をいじらず、食べやすい味です。
今回はディナーに3人で訪問。夜の一番リーズナブルな、メニュー・ポートピア(8,662円 税・サービス料込)をいただきました。アミューズ+前菜+魚料理+肉料理+アイスのデザート+ワゴンデセールのデザート+プティフール+食後のお飲み物(コーヒー・紅茶・ハーブティーより)という構成です。

まずはアミューズにウサギのパートフィロ包み。パリッとしたパートフィロの中に、ウサギの背肉などをミンチ状にして詰めています。やや固めの食感で、ウサギ特有の臭みを消し、ていますが、風味がなくなってしまう直前で仕上げているのが見事です。

前菜は“地鶏のコンソメゼリー 根セロリクリームにキャビアをのせて”。フランス料理らしく、香りを大切にしています。
前菜は“地鶏のコンソメゼリー 根セロリクリームにキャビアをのせて”。フランス料理らしく、香りを大切にしています。
前菜は“地鶏のコンソメゼリー 根セロリクリームにキャビアをのせて”。運ばれてきた瞬間、濃厚なコンソメゼリーが芳醇に香ります。冷製に固められてなお、これだけの香りが立つのに驚きました。地鶏肉にふられたバルサミコも、いっそう力強い香りを放っています。根セロリのクリームもなかなか美味で、ふんわりとした食感・味のクリームをキャビアの塩気で引き締め、全体に統一感のある味わいです。

魚料理の“鮃(ひらめ)のポッシェ 季節野菜のエテュベ添え”付け合せのセロリまで美味。
魚料理の“鮃(ひらめ)のポッシェ 季節野菜のエテュベ添え”付け合せのセロリまで美味。
魚料理は“鮃(ひらめ)のポッシェ 季節野菜のエテュベ添え”。ポッシェ(poche)とは沸騰させずに、低めの温度で静かに煮ること。全体に熱が入り、しっかりめの仕上がりになっています。下には海草が敷かれ、そこにふれている魚にもうまみとなる海草のアミノ酸が染み込み、いっそううまみを増します。

肉料理は“鹿ロース肉のロティ 栗といちじく添え カルダモン風味のソース”。これまで食べたことのない、優しい味わいの鹿肉です。
肉料理は“鹿ロース肉のロティ 栗といちじく添え カルダモン風味のソース”。これまで食べたことのない、優しい味わいの鹿肉です。
メインの肉料理は“鹿ロース肉のロティ 栗といちじく添え カルダモン風味のソース”。アミューズのウサギほどではないにしろ、やはりクセの強い食材である鹿をどう調理するのか、興味津々で待ち構えていました。運ばれてきた瞬間、カルダモンの香りが立ち上ります。このカルダモンのソースを使い、やはり風味がなくなってしまわないよう、臭みをギリギリに抑える仕上がりにしているのです。火入れは強めにし、食べやすく、あまり生感のないしっとりとした仕上げ。栗と、柔らかく煮たイチヂクを添え、季節感を演出。臭みの消し方といい、これほど食べやすく、そして風味を失っていない鹿は初めてでした。

次のページでは、これでこそフランス料理。圧巻のワゴンデセールをご紹介します。
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