あの舌平目が現代風に蘇る
魚料理は『舌平目のアルベール風“モデルニテ”』。舌平目のアルベール風はマキシム・ド・パリのスペシャリテ(得意料理)で、同店で1930年代から30年以上に渡りメートル・ドテルを務めたアルベールAlbertにちなむ。彼は上客に限って手厚いサービスにつとめ、至らぬスタッフは容赦なく解雇するなどして、畏敬を集めるとともにマキシムのプレステージを高めたという。
「モデルニテ」とは「現代性」を意味し、マキシムのレシピを現代風にアレンジしている。ソースにヴェルモット、白ワイン、魚の出汁、仔牛の出汁を使用。魚の出汁を極端に減らして野菜の出し汁を加え、さらにつなぎのバターを減らすことで、軽やかになると同時に魚の香りが抑えられる。フランス産の舌平目の身の厚みや歯ごたえもしっかりとしており、身の上にふりかけるパン粉をアーモンド生地に置き換え、香ばしさを加えている。
ヴェルモットはアロマタイズド(風味付けした)ワインの一種である。ここでは一般に「ノイリー酒」と呼ばれる銘柄のノイリー・プラットを使用している。オニアザミ、コリアンダー、ナツメグ、オレンジなど20種類のハーブを漬け込むため、複合的なスパイス香が加わる。添えられた紫色の葉をつまめば、ほろ苦さがよいアクセントになる。
ピノ・ノワール、マルカサン・ヴィンヤード AVAソノマ・コースト 1996年(マルカサン) |
『鶏のコンソメスープ』 |