ワイン/ワインバー・レストラン

美食の技法:フランス料理を考える(3ページ目)

おいしいフランス料理を食べたいというグルメが集まる講座の最終回に、このレアものワインが登場! あのフランス料理店で、現代最先端の料理と最高峰のワインとを一度に体験した。

執筆者:橋本 伸彦

フォアグラに負けない辛口白


第二の前菜『セップ茸のチュイルでサンドしたヴァンデ産フォアグラのコンフィ ピスタチオ風味のブリオッシュを添えて』は、伝統的なフォアグラのコンフィを、最新スタイルの「甘く塩っぱい」セップ風味のチュイル(tuileは瓦を模った軽い焼き菓子)で挟んだもの。製菓技術を前菜や主菜に用いるのは、料理界でここ数年の流行である。ピスタチオを加えて焼き上げたブリオッシュは一般には見かけないアイテムだが、フォアグラと相性が良い。円形の連続にデザインされているフォアグラとチュイルがユニークだ。

『セップ茸のチュイルでサンドしたヴァンデ産フォアグラのコンフィ ピスタチオ風味のブリオッシュを添えて』

この前菜に合わせたのは、ソノマ・コーストのカルトワインとしてオークションなどで取引される他はほとんど流通しない、カルトワインのMarcassinである。(日本では「マルカッサン」「マーカッシン」と呼ばれることが多いが、ここではフランス語風に「マルカサン」と書こう。) シャルドネ種の白ワイン「ロレンツォ・ヴィンヤード」という単一畑ワインの1993年ヴィンテージである。

シャルドネ、ロレンツォ・ヴィンヤード AVAソノマ・コースト 1993年(マルカサン)
穏やかにバランスが取れており、グラスに注がれて時間が経つとともに、非常に濃密でまとまりのある風味が口中に広がる。もちろん辛口ワインでありながら、極上の甘口ワインをイメージさせるような滑らかさとコクがあるので、フォアグラの香りや口当たりに申し分なくなじむ。ヒュー・ジョンソンをして「マルカサンは売り買いされることは多いが飲んでみる者はほとんどおらず、シャルドネは一度飲めば忘れ難い凝縮感がある」と言わしめるだけある。この畑のシャルドネはもう造られていないというから、良い状態で熟成していることと相まって非常に希少なワインだ。

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