しっとりカレイにイタリアの白を
次は主菜、まず魚料理を見てみよう。『カレイのムニエル ケッパーソース』は、カレイの身に粉をはたいてこんがりと焼き上げられたもので、しっとりジューシーなカレイに酸味が利いたソース(フォンドヴォーをベースに、ニンニク、白ワインヴィネガー、ケッパーを加えている)が添えられたもの。この料理は、周囲にたっぷりの野菜が盛られている。この日は、豆苗(とうみょう:エンドウ豆の葉や茎の部分)、モロッコインゲン、福立菜(フクタチナ)、ピュアホワイト(白っぽい皮のズッキーニのような実野菜)などが盛られた。その季節によって旬の野菜を使うので、野菜の組み合わせも日替わりである。このひと皿に合わせるのは、林氏が「ケッパーの酸味や苦味に、この白ワインの素朴な旨味やほろ苦さを合わせて楽しんでほしい」と薦めるフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のコッリオ地区でコッレ・デュガ(プリンチック家)が造る、フリウラーノ種の2007年である。以前は「トカイ・フリウラーノTocai Friulano」と呼ばれていた品種で、コッレ・デュガのワインもそのようにラベル表記していたが、ハンガリーの有名ワイン「トカイTokaji」と紛らわしいとして近年、イタリア全体として新名称「フリウラーノ」に切り替えたという経緯がある。この品種の持ち味であるデリケートなまろやかさを生かすために、ブドウをやさしく搾った果汁を低温のステンレスタンクで発酵させる。
フリウラーノ DOコッリオ 2007年(コッレ・デュガ) |