コルク臭を判別して
われわれ消費者に出来ることといえば、鼻を利かせてコルク臭があるワインを返品すること、代替品の「人工コルク」「合成コルク」と呼ばれる合成樹脂栓やスクリューキャップで詰めたワインを買うことぐらいだ。
また、TCAによるコルク臭を除去するのに食品用ラップフィルムを浸してしばらく置くという説が、堀賢一氏などによって紹介されている。数10センチ四方のラップフィルムをグラスのワインに浸すとカビ臭が和らぐという。食品用ラップフィルムの素材は、低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルテンペンなどいわゆる高分子物質である。
香味物質に詳しい研究者に訊いてみたところ、これら素材の科学的な性質は「非極性」で、同じく非極性のTCAはラップフィルムに吸着されると考えられるという。化学的な性質ではあるが、言ってみれば「似たもの同士がくっつく」ということになるだろうか。