TCA汚染との戦い
スクリューキャップはコルク臭のリスクを下げる |
実際にコルク生産者は酸素漂白に切り替えるなど対処してきているが、じつはワイナリー自体にも混入経路がある。TCPは材木の殺菌剤として広く使われており、そこから空気中に出やすい。こうした理由で、ワイナリーの建材、木製パレット、醸造設備など直接ワインに触れていないものからTCPが出てカビなどの微生物と出会えば、そこからTCAが発生することもあり得る。例えば日本酒醸造で木製品のTCPをコウジカビが代謝してTCAが生じ、カビ香が日本酒に残ってしまうという経路が判明している。
このように、「コルク臭」といってもコルクだけが原因ではない。だが、コルク栓からの汚染リスクがあることに変わりはないので、コルク生産者はコルクを炭酸ガスやマイクロ波で処理して、リスクを下げるよう試みている。ワイナリーでもこうした原因となる建材を除外し、醸造設備を清潔に保ち、コルク以外の栓を検討している。