ブサコワインを味わう
ブサコワインのブランコ(白)2006年、そしてティント(赤)2001年ヴィンテージが注がれる。写真の赤ワインラベルにはクラシックな赤色が使われているが、白ワインには替わりに深緑色が使われる。ブサコのブランドワインで、複数の生産地のワインを使うせいもあってだろう、生産地名は表記されていない。セラーでの試飲とは違った大ぶりのグラスが風味を引き出してくれるせいか、白はふくよかな果実味とバランスよく爽やかな飲み口がよく分かる。決して強い味わいではないが、素朴な中に心地良い深みが感じられる。
赤は色が中程度の濃さで、味わいは白と同様にほどよい酸味が効いている。ポルトガルを代表するブドウ品種のひとつ「バガ」を使っているが、バガのストロベリー的な果実味だけでなく、ポートに使われる品種のしっかりしたコクも感じられる。
2001年がすでにある程度の熟成感を示していることを考えると、10年ほど熟成させれば充分なワインではないか。ワインリストにはかなり古いヴィンテージまでずらりと並んでいるから、かつて昔の造り方で、除梗(ブドウの軸のような部分を除く)しないで造られた頃のヴィンテージを試してみたくなる。
土地の滋味に舌鼓を打つ
この辺りの名物料理といえばなんと言っても仔豚のローストである。丸ごとワイルドな姿で出てくるのかと思いきや、皮と肉を銀盆に盛り付け、ワゴンから取り分けてくれる。皮は塩味が効いてパリパリと香ばしく、蒸し焼き状になった皮の下そして肉の部分は肉汁が豊富に含まれている。見た目は北京ダックに似ているが甘味はなく、強めの塩味でシンプルに素材の旨味を際立たせるというポルトガルらしい手法である。
脂っぽさは感じないが旨味と塩味がたっぷりの仔豚の後に、若々しい風味と熟成感を兼ね備えるワインを飲む。口中を潤おし、洗い流し、酸味と渋味で引き締めながら、余韻には繊細な芳香が残る。これはなんとも、相性が良いではないか。先ほどは素朴で控え目に見えたワインが、郷土料理と相まって引き立つ。ここではワインの味わいからも、伝統と歴史が実感させられる。
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