ワイン/ワイン関連情報

ニッポンのブドウで、ここまで進化した。(3ページ目)

この夏も、日本のブドウで造ったワインの実力が光る。夏の陽射しが暑い甲府で開かれた公開試飲で、国産ワインコンクールの受賞ワインを利き比べた。

執筆者:橋本 伸彦

甲州種が蘇った!

グレイス甲州菱山畑2006年
甲州種、特に辛口の甲州には良いものが多く出て来ている。樽発酵、樽熟成、シュール・リー(酵母の澱と長く接触させる)などいろいろなタイプのものが造られ、大胆な実験の後には繊細な調整が行なわれる。結果としてちょうどいい加減と組み合わせが発見され、すべてが味わい深さへとつながる。日本固有のヴィニフェラ(ヨーロッパ系)品種が再評価され、優れたワインが増えているのはうれしい事である。

中央葡萄酒の『グレイス甲州菱山畑2006年』は銀賞の中でも印象的だった。ざっくり辛口でパワフルで、酸味もしっかり。若々しい余韻は長い。ほかに、甘口の甲州でもチャーミングなものがある。大泉葡萄酒の『香り甲州2006年』はフルーツガムやマスカットの香りがフルーティーで、バランス良くフレッシュな余韻。爽やかでベタ甘さを感じさせない。

さらに注目の生産者

香り甲州2006年
他にも好調だったのが、井筒ワインと高畠ワイン。井筒ワインが金賞を得た『NACシャルドネ2006年』はパイナップルのようなアロマや樽香が際立ち、味わいはドライでミネラル豊か。同社の『NACメルロー2005年』『NACカベルネ・ソーヴィニヨン2005年』は銀賞。共になめらかな果実味に、ほろ苦さや土の香りなどアクセントが配されている。『高畠シャルドネ樽発酵2005年』はミネラルや蜂蜜の風味があってバランスよく緻密な構成。『嘉 高畠シャルドネ樽熟成2001年』はもっとキッパリとしたミネラルの強いスタイルだ。金賞を取ったダイヤモンド酒造『シャンテ甲州樽発酵2006年』はいかんせんまだ若いのだが、かなり力強くほろ苦くスパイシーで、何より純粋なアロマがいい。

2004年から4年連続で公開試飲を見ているが、優れたワインのアイテム数が増えてきたことと上級ワイナリーの更なる向上で、今年は俄然ウォッチングが楽しい国産ワインコンクールであった。さて、あなたはこれを読んでいるだけではいけない。ここに挙げたワインを買って、とてつもなく「オイシイ思い」をするべきだ!


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