ナニワのカリフォルニア!?　『スープル』(5ページ目)

肉を食らい、ワインを飲む

ここの名物料理といえば、炭火焼である。いい素材をいい炭で焼くのは、シンプルながら料理のひとつの完成形といえる。地鶏の炭火焼は塩加減を穏やかに、表面は乾燥した火で香りよくいぶされているのに中はジューシーという炭火焼の特徴がしっかりと生きている。たとえば白いご飯のおかずにだってなりそうなくらいだが、ここはワインと合わせる。

表面はカリッと、ピンク色を帯びた肉汁があふれる『静岡産　富士鶏の炭火焼』

甘長トウガラシなどの野菜をグリルして合わせてあり、肉と野菜を熱々のまま頬張り、ワインを流し込む。こんな時に「ワインと料理の相性」なんてうんちくは忘れてしまう。自分が飲みたいワインと自分が食べたい料理を、無心で味わう。それだけである。

忘れちゃいけない、デザート

フルーツ、シャーベット、アイスクリーム、ブランマンジェにクレームブリュレそしてガトーショコラと、食後の甘味は豊富に揃っている。シャーベットは風味充分、ガトーショコラは濃厚ながらふわりととろける。ワインのある食事はこうしてデザートが満足行くものであって初めて、しっくりと完結すると思うのだが……

『Souple風ガトーショコラ』は周囲にフランボワーズのソース

食事の締めくくりにはブランデーなどスピリッツも豊富に揃っているので、訊いてみるといい。こうしてみるとスープルは、ワインバーというよりは立派なレストランである。ワインリストがおそろしく充実したレストラン、しかも多国籍料理を箸で食べられるスタイル。しかも廉価なのである。

甘美な罠にはまる>>