高い品質を目指して。チリワイン「コノスル(cono sur)」

1990年代後半、ロンドンのワイン店とスーパーマーケットの棚を席巻したワインがあった。「チリワイン? ああ、まあ安いしね」。そう思って買った人々は、飲んでみて驚いた。値段からは想像もつかない、熟した果実味と新鮮な香り! 以来、コノスルはすっかり定番商品となり、2001年にはイギリス市場で最も売れたチリワインとなる。

コノスル社から来日した醸造家のフルタード氏(左)と輸出担当のマリーナ氏

醸造家のアドルフォ・フルタード氏と輸出担当のゴンザロ・マリーナ氏。にこやかにジョークを交えながらも、自社ワインについて語ると熱が入る。ワイナリーのスローガンは「家系図なし。ホコリの積もったセラーなし。高品質ワインあり」。ワイナリーが出来た1993年の輸出量は3万ケースだったのが10年後に160万ケース、2005年には200万ケースを超え、輸出でチリ最大手ワイナリーの仲間入りをした。品質が支持された、何よりの証拠である。

リースリング種の単一畑ブドウで造ったワインのサンプル

コルク臭のあるワインが出ないように、コノスルは従来から合成コルクを使用していた。現在では白とピノ・ノワールから順次スクリューキャップに替え、一部のワインを除いて全アイテム切り替えを予定している。コルクスクリューが要らなくなり手軽に飲めるようになったコノスルは、実売価格も1本当たり700円から2000円台と手頃である。このワインを活用してみよう!ということで、試飲会を開いた。

コノスル10種を比べる

京都のそうげんカフェで行なったテイスティングでは、コノスルのワイン赤白10種を試飲した(2007年3月実施)。狙いは、

■それぞれの品種にある風味の特徴を比べる
■複数ある同じ品種のワインでレベルの違いを比べる

という点である。きちんと熟したブドウのアロマを生かした造りのコノスルなら、ブドウの持ち味を対比するのにも向いている。
バケツで冷やされるボトル
バケツの氷水でしっかり冷やす

1. ゲヴュルツトラミネール ヴァラエタル
2. ソーヴィニヨン・ブラン 20バレルズ
3. シャルドネ ヴァラエタル
4. シャルドネ リザーヴ
5. シャルドネ 20バレルズ
6. ピノ・ノワール コンヴァージョン
7. オーガニック
8. ピノ・ノワール リザーヴ
9. メルロー ヴァラエタル
10. カベルネ・ソーヴィニヨン リザーヴ

試飲会ではワインの名前と味など、メモを取るのが肝心
この試飲会で、例えばシャルドネ種のみで造るワインは異なる価格帯を下から、ヴァラエタル、リザーヴ、20(トゥエンティ)バレルズと3種比較した。グレードが上がっていくにつれて、ワインの凝縮感と芳香が増していくのが分かる。

全般にヴァラエタル・シリーズは、それぞれの品種の基本的な風味をきっちり生かして造られている。果実味が中心となり、オークの香りはほとんど目立たない。リザーヴそしてヴィジョン、20バレルズとシリーズのグレードが上がるほど、ブドウの風味の凝縮感が鮮やかに浮かび上がるため、それを際立たせるオークの香りも添えられる。それに栓を開けてから風味が開いていく変化も、グレードが高いほど長く楽しめるということに皆が気付いた。

お勧めワインのセレクション

コノスルのゲヴュルツトラミネールやメルローは全般にどれも価格に対してしっかりとした凝縮感で定評があるが、近年人気なのは有機栽培のブドウを使ったコノスル『オーガニック』だ。ブドウを破砕してから8℃で4日ほど浸漬して味わいを抽出した後、29℃で1週間発酵させる。熟成はフランス産オーク樽と合わせてステンレスタンクの中にオーク材を固定する手法も使う。味わいは柔かく熟した果実味がなめらか。

『オーガニック』のラベル。コルチャグア・ヴァレー地区のカベルネ・ソーヴィニヨン種とカルメネール種のブレンド

『オーガニック』の畑ではガチョウを放って害虫を食べさせるという、日本の「アイガモ農法」に似た方法を使っている。ワイナリーの従業員が畑に行くのに自転車を使っているため、ラベルに自転車があしらわれている。このラベルは再生紙で、キャップシールの代わりに瓶口を覆うワックスも有機のものを使っている。ここまで凝ってたったの千円前後という実売価格である。

『コンバージョン』ワインのラベル。コルチャグア・ヴァレー地区のピノ・ノワール種のみ使う

最近リリースされたのが、有機農法に転換中の畑でまだ認証を受けていないピノ・ノワールから造った『コンバージョン』(「転換期」の意)と呼ばれるワイン。健康なブドウの伸びやかな風味が伝わってくるような味わいで、千円ちょっとという実売価格に充分見合った満足感がある。

一度は飲んでおきたい、極めつけの1本!>>