キャンティ・クラシコ復活への情熱
セミナー会場でスピーチ |
「父は誰か息子が会長職を引き受けると思っていたみたい。私がやると言ったらオヤというような顔をしていたけれど」ファミリーの誰が援護してくれるというわけでもなく、いったん自分がやると言ったら、それは自分のチャレンジだったという。この辺りがいかにもイタリアらしい個人主義だ。
複雑な事情から当時は二分していたキャンティ・クラシコの協会が、ひとつに統合されてすべてのボトルにシンボルの「黒い雄鶏」マークがつくのが嬉しいと話す。
自然と地域性を尊重する
自然派のブドウ栽培、ワインセミナー、料理教室、レストランやホテルといったワイナリー施設の充実などは、最近になって盛んになった方向性だ。しかしバディア・ア・コルティブオーノではエマニュエラが参加した1980年代からそれらを実践している。言わば、20年も先を行っていたことになる。では、これからの方向は?大切なのは「ワイナリーに価値を加えていくこと」だという。長い歴史や地域の特徴を大切にする。その地方、その場所ならではの動植物の多様性を保持して、ワインに関しては土地と畑、キャンティ・クラシコの特徴をそれぞれ尊重する。これからのワイン造りのポイントとして、この点を第一に挙げている。
こうしたポリシーから、1997年にワインを重力によってやさしく移動する最新式のワイナリーを建築し、所有する畑をすべて実質的な有機栽培に移行したというわけだ。収穫したブドウは選果台で厳しく選別し、果皮の天然酵母で発酵させる。抽出期間を長めに取ったり、バリック(小樽)での熟成、新たなキュヴェの開発などのテクニックは少しずつ試されているようだ。
穏やかなバランスを秘めて
クルトゥス・ボーニ |
イタリア以外では日本が初リリースだったという新しいキュヴェ『クルトゥス・ボーニ』の2001年は、コルティブオーノの拠りどころである修道院の名を冠し、ラベルに杖の紋章を記したワイン。ブドウ品種はサンジョヴェーゼ主体で、チリエジオーロ、コロリーノ、メルローがブレンドされているキャンティ・クラシコである。チリエジオーロの語源となったチェリーっぽさ、ハーブや花の香りもあり、2年間の樽熟成を経ているが風味は華やかで今後も数年は熟成が楽しめそうだ。
キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ |
サンジョヴェーゼという品種は、昔トスカーナでSan Zoveto、転じてSangiovetoと呼ばれたという。サンジョヴェート1999年はIGTトスカーナの格付けで、サンジョヴェーゼの樹齢35~55年という古い樹の凝縮したブドウを使う。4分の1をバリックの新樽で熟成させる。値段は張るが、かっちりと中身の詰まった味わいは完成度が高い。バニラやスパイスの香り、味わい深いダークチェリーが力強く滑らかに広がる…
いかがだろう?芸術のルネッサンスをバックアップしたメディチ家の末裔が、現代ではキャンティ・クラシコの復興を手掛ける。壮大なロマンと人間模様のストーリーに、エマニュエラのような美女はうってつけのヒロインではないだろうか?
輸入元:日欧商事(03-3582-1490)
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