顧渚紫笋茶の製茶・印象
大型の芽が特徴
もともと、このお茶は、湖州茶区で生産される潅木型の中・小茶樹と似た、地方の群体種を元に作られていたといわれていますが、1950年代にこの地方に鳩坑種が導入され、これらが自然交配して長興縣あたりでポピュラーな品種になったとのこと。
長興県は浙江省の西北、太湖の畔に位置し、陸羽の故郷としても知られた土地です。亜熱帯季節風地域のため、年間平均気温が15~16度で雨も多く、霜が折りにくいため、茶の育成にはとても優れた土地であるとされています。特に山間部では、霧も発生し、野生の茶葉も含めて、品質の良いお茶が栽培されています。
さて、この顧渚紫笋茶は、清明節前(4月5日ごろ)から穀雨(谷雨・4月20日ごろ)までの間に、一芯一葉または一芯二葉で採摘されます。芽の部分はぷっくりと大きく、まさに笋のような形状をしています。芽の部分が柔らかくまっすぐに上に伸びているものが良いお茶だとされています。
まさに竹の子のような芽
摘み取られた茶葉は、まず竹の笊にいれられて放置(攤青)されます。しおれてやわらかくなり蘭の花のような香がしてきたら、次に木柴や茅柴を使って加熱した鍋に一階に着き350gの茶葉をいれ殺青します。100度を上回らない程度の温度で手でかき混ぜながら炒り、粘り気を感じなくなったら茶葉を出します。
この工程を2回程度繰り返したら、最初120度の温度にあげ、形を整えていき、さらに80度~100度に温度をさげ、さらに整えます。
その後、殺青した2~3回分を一つの籠に入れ、120度程度の温度の炭火で[火共]焙し乾燥させていきます。一度冷ました後、さらに80度~100度程度で再度[火共]焙ししていきます。
つまり炒青と火共青を同時に行う製茶工程を経て、このお茶は出来上がります。
さて、薀蓄はこのぐらいにして、このお茶はおいしいか?ということについて触れておくと、はっきり言って「とてもおいしい」というのがガイドひらたの率直な感想です。
ゆったりと飲むのがお勧めのお茶
蓋碗でもガラスのコップを使っていも淹れることが出来ますが、茶葉の形状を愉しむためにも、ガラスコップを使うことをお勧めしたいと思います。グラスの中でゆれる紫笋茶は、紫という印象はないものの、笋が林立しているようにみえる様は、なかなかに見ごたえがあります。
香りもやさしく、浙江省のお茶としては、比較的強めの味わいです。しかし、上品な甘味があって、とても飲みやすいお茶ですので、飲んだことのない方は是非試してみることをお勧めしたいお茶です。