中国茶/おいしい中国茶の入れ方

クリームダウンのない冷茶を作る(2ページ目)

暑い夏。美味しくて美しい冷茶を楽しみたいもの。でも、白濁してしまうこともあります。そんな失敗をしないためのコツを!

執筆者:平田 公一

茶葉の違いによるクリームダウン



明るい色のアイスティーに


クリームダウンは前のページにも書いたとおり、カテキンとカフェインの結合物によって白濁する現象です。したがって、カテキンとカフェインを含有している茶葉は、理論的には「クリームダウンが起こる」といえるでしょう。ただし、それは理論的なことであって、クリームダウンが起こりやすいのは、よりカテキンとカフェインが多く含まれる茶葉だといえます。

したがって、カテキンとカフェインがより多く含まれている大葉種の茶葉は、小葉種の茶葉よりもよりクリームダウンが起こりやすいといえるでしょう。

つまり、アッサムと龍井茶をアイスティーにしたときには、カテキンがより多く含まれるアッサムの方がクリームダウンが起こりやすいというわけです。

では、大葉種と小葉種の違いではなく、紅茶と緑茶という製茶過程の違いを比べてみたときはどうでしょう。

同じ小葉種を使った場合は、紅茶ほのうがやや時期的に遅い時期に作られることが多いため、理論的には紅茶の方がクリームダウンしやすいとは考えられますが、実際にクリームダウンする比率としては、大葉種と小葉種ほどの差異はありません。

龍井茶の品種で作られる九曲紅梅と緑茶の龍井を比べたときには、クリームダウンの起こりうる頻度はほぼ同じだといえるでしょう。

もちろん、大葉種の緑茶(たとえば南糯白毫)と小葉種の緑茶(たとえば六安瓜片)を比べてみると、大葉種(南糯白毫)の方がクリームダウンしやすいと言うことはいえるかもしれません。

では、烏龍茶はどうでしょう。

芽の部分を沢山使ったお茶はカフェインは多く含まれますが、大葉種で作る烏龍茶はほとんどなく、カフェインとカテキンが結合する比率も小さくなります。ただし、中葉種の鳳凰単叢などでも、時々クリームダウンが起こったりしますから気をつけましょう。

このように、クリームダウンの原因であるカテキンとカフェインの量が多いお茶ほどクリームダウンしやすくなりますので、大葉種よりも小葉種、紅茶よりも緑茶、夏茶よりも春茶のほうが、クリームダウンを起こしにくいと考えるべきでしょう。

茶の淹れ方によるクリームダウン

茶の淹れ方にもクリームダウンするかしないかの原因が潜んでいます。

茶葉の違いで見たとおり、カフェインとカテキンが大量に含まれているものの方がクリームダウンしやすいわけです。したがって、より長く抽出したお茶ほど、カテキンとカフェインが湯の中に解出していますから、結合物が出来やすく、クリームダウンしてしまうわけです。

さらに、より熱い湯で淹れたほうが抽出物が抽出しやすくなります。時にカフェインは、低い温度の湯であればあるほど、抽出しにくい性質をもっています。だから、やや温度を低めにして淹れると、クリームダウンが起こりにくいわけです。

たとえば、水出しのお茶がクリームダウンしないのは、そんなところに原因があるのです。

あとは、一定の水に含まれるカテキンとカフェインの量を少なくすることが決め手になります。つまり、一定の分量のアイスティーを作るときには、出来る限りその水の量に含まれるカテキンとカフェインを少なくするために、氷が解けて加わる水分量も計算に入れて茶を淹れます。茶葉を増やすのは禁物ということです。

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