本草学に示された茶の効能
本草学でも論じられたお茶の効能
さて、時代が下ると、明代1500年代の後半に、李時珍が『本草綱目』を著し、中国医学の基礎を築きました。その『本草綱目』の中で、「茶」は「茗」として30種類以上登場しますが、最も評価が高いのは、蒙頂茶でした。
その蒙頂茶の性質は「寒」であり、効能として「頭痛」「下痢止め」「風邪」「覚醒」「解毒」などが掲げられています。
このように、茶の伝播の一側面に、「健康に効果がある」ということがあったことはとても面白いことだと思います。単なる飲料であれば、これほど長い期間人に飲み続けられてきたとも考えにくく、仏教と結びついたお茶が、仏教の広がりとともに広く一般にも伝播した裏側には、こんな「効能」という理由があったわけです。
ちなみに、仏教に茶が取り入れられるようになったのが「茶が座禅の際に眠気を駆逐する」というのも面白い話です。
現代では茶に含まれる様々な成分が、どのように人の身体にとってよいのかという研究が様々に行われていますが、このように、古くから茶が持つ効能が人々を魅了してきたのです。