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湧き出るダージリンの香り

ダージリンの茶葉を、立山連峰の雪解け水を用いて最終的に仕上げた紅茶。自然のマスカットフレーバーが香ります。

桑原 珠玉

執筆者:桑原 珠玉

紅茶ガイド

「グレイスピース」のダージリン
無香料でもダージリンの香りが溢れる

プレミアム(写真左)は35g入り2,625円。レギュラー(右)は35g入り1,575円。
まるでフレーバードティー、と思ってしまうのがこの紅茶。乾燥茶葉からは爽快なマスカットの香りが立ち込めます。あまりに良い香りなので思いっきり吸い込んでしまいたくなるほど。
そして紅茶をいれると、その柔らかい味わいとともにほのかなマスカットの香りに変わります。その味は、渋みがほとんどなくすっきり。

この紅茶「グレイスピース」はインドのダージリン茶葉100%を使い、日本で製造の最終工程がなされます。フレーバードティーではありません。その製法は独特。2度の発酵を経て作られるものです。

茶葉はダージリンから、発酵途中からは日本で


まず、指定のダージリン茶園で摘まれた茶葉は萎凋(いちょう)、揉捻(じゅうねん)を経て発酵工程へ進みますが、この発酵段階を途中でストップさせ、アルミで密閉して日本へ空輸されます。富山県に到着した茶葉は再び発酵させられます。
発酵に用いるのは立山連峰の雪解け水。時間をかけて黒部峡谷の洞窟内へ流れだしてくる湧水を用いて発酵させることで、自然のマスカットフレーバーが最大限に引き出されるそうです。

浸出時間は短く、2、3煎は入れられるというダージリン。
ダージリン特有のマスカットフレーバーはこの2つの発酵を経て一層溢れだしているようです。一般的に想像できる良質なダージリンの香りよりはっきりと、そしてナチュラルな香りがします。
商品はプレミアムとレギュラーの2種類で、ともに同じ製法にて製造されていますが、使用する茶葉が異なるようです。プレミアムのほうは芯芽の量が多く、茶葉の甘みや香りがよく現れているそうです。

入れ方は、一人分3g程度の茶葉に約150mlの熱湯を注ぎ、1分間蒸らすこと。この蒸らし時間1分とは、ダージリンのリーフタイプの茶葉にしては短いですが、同社によれば「これは、特殊な方法で発酵加工を行った茶葉です。通常のように3分~4分を浸出させるとタンニンやカフェインが多く出て美味しさを損ないます。弊社の紅茶は、今まで無かった香りと甘みを出すことに成功した唯一の商品です。最初の浸出時間が1分のため1煎のみならず2煎3煎と抽出出来ます。」とのこと。

革新的な製法で生まれたダージリンの湧き出る香りに魅了されます。

■協力:株式会社TBエンタープライズ
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