紅茶の国、イギリス。しかし、イギリスでお茶が商業的に作られたことはありませんでした。お茶の生産には様々な気象・土壌条件が必要です。各国・地域から輸入された茶葉が英国でブレンドされ、英国紅茶として親しまれています。ところが、2005年、ついにイギリス産紅茶が発売されました。イギリス初の紅茶がどこで、どうして、誰によって生み出されたのか、ご紹介します。

トレゴスナン エステートとトゥルロの街


コーンウォールからイギリスの新たな紅茶を生んだトレゴスナン エステート。
18、19世紀にはコーンウォールのロンドンとも呼ばれ、現在もコーンウォールの中心都市であるトゥルロ。イギリス南西部のコーンウォール地方のトゥルロ中心部からファル川に沿ってやや南下したところに40ヘクタールものトレゴスナンガーデンがあります。

この巨大な敷地はTregothnan Estate(トレゴスナンエステート)。1335年以降、ファーモス卿一族によって保護され、現在ファーモス卿のご子息であるボスコーウェン家の所有として、海外の珍しい植物、あらゆる種類の葉、巨大な樹木などを幅広く扱う総合園芸業を営んでいます。


トレゴスナンティーを生んだ人とは


世界の茶栽培について研究しているジョーンズ氏。
トゥルロ出身の彼がスコットランドや日本での経験を積みトゥルロに戻ってきたのが1996年。2005年はダージリンについても現地での研究を行いました。
1996年にヘッドガーデナーとしてジョナサン・ジョーンズ氏が就任してから、新たなそして歴史的な取り組みがなされました。それが茶栽培です。トゥルロ出身であるジョーンズ氏は1990年にスコットランドのエディンバラにある王立植物園へ、さらに日本やダージリンでの園芸・ティープランテーションの経験を積み、また数々の奨学金を受け、園芸、ツバキ(カメリア)についての研究をしてきました。

しかしイギリス国内でお茶が栽培できるのでしょうか?
ジョナサン氏は、コーンウォールのトレゴスナンにはダージリンに勝るとも劣らない特有の環境があると判断。トレゴスナンエステートの土壌は酸性で、湿気も十分にある。カメリア(ツバキ)については約200年前から観賞用として栽培していました。


ほのかな香りに滑らかな口当たりのクラシックティー。渋みが抑えられているのでミルクを入れなくても楽しめます。
なによりカメリアが育つ環境において、同じツバキ科の茶が育たないはずが無いという考えから、1999年キッチンガーデンにて茶の栽培が始まりました。中国種からスタートし、現在も様々な種の栽培を試行しているそうです。2002年頃から少しずつ収穫があり、テイスティングを重ね、2005年、ついにイギリス初となるイギリス紅茶が完成しました。収穫量は少量であるためにトレゴスナンで摘み取った茶だけから作られるシングル・エステート・ティーは高価な上に、入手も困難。よって、様々なブレンド茶としても販売されています。


トレゴスナンティー


それでは現在取り扱われているトレゴスナンティーをご紹介しましょう。
シングルエステートティー以外のブレンド茶はコーンウォールのD.J.マイル社の熟練した専門家が担当。
パッケージはチンツ(更紗)に見られる花柄模様が特徴のデザイン。
CLASSIC TEA(クラシックティー)
アッサム茶と中国茶にトレゴスナン茶をブレンド。

GREEN TEA (グリーンティー)
中国産緑茶とトレゴスナン茶のブレンド。

AFTERNOON TEA (アフタヌーンティー)
上質なダージリンとトレゴスナン茶のブレンド。

SINGLE ESTATE (シングルエステート)
毎年限られた量しか収穫されないトレゴスナンで摘み取られたファーストフラッシュの茶葉のみからできたお茶。(今年の販売は終了したようです。)


トレゴスナンの夢


ヘッドガーデナーのジョーンズ氏は今後、ガーデニング、アートギャラリー、ティールームなどの入ったインターナショナル・ティーセンターを設立したいという目標も掲げています。ティープランテーションについては緑茶、紅茶の生産のほかにも将来的には白茶の生産も視野に入れているようです。園芸産業の長い伝統と歴史をもつトレゴスナンでは栽培についても5年などではなく100年といった長い単位で取り組んでいます。これらの夢がいつかなえられるかわかりませんが、ゆっくりと着実に夢を現実にしているジョーンズ氏とトレゴスナンから目が離せませんね。

■資料提供・協力:トレゴスナン ティー (英語)
オンラインショッピングにてクラシックティーなどの購入も可能ですが、イギリス以外の国からの注文は、発送が可能かどうか問い合わせが必要です。

■関連リンク:トレゴスナン(英語)
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