何十年も、何十年も続くスタイル
カラカラと店の戸をあけて入ってきたお客さんが、「小さいほうの食パンと、小さいほうのロールパンください。ひとつずつ」カウンターでそんなふうに告げて、パンを買う店。パン生地は 食パンとロールパンの2種類だけ、形や大きさの違いをつけても10種類にしかなりません。ここは何十年もこのスタイル。店にもパンにも余計な飾りがなく、一年を通して同じ生鮮食品を販売しているところなど、まるで肉屋さんか何かのようです。浅草のペリカンは今年で創業60年、食パンとロールパンを つくり続けるパン屋さんです。
交差点から見える看板が目印 | 昔からずっとこの紙袋 |
店に入るとカウンター。右手の棚には食パンがずらりと並ぶ |
「うちは特殊なパン屋だから」 と三代目の渡辺猛さんは言いました。
こういうパン屋さんが町に普通に存在してくれたら、とわたしはいつも思うのですが、世のパン屋さんの話を聞けば、なかなかそうもいかないようで。食パンとロールパンだけを売る。一見シンプルであたりまえのように思えることが、実は特別なことなんですね。
飽きのこない、おいしいパンをつくり続ける店は貴重です。だからここ、ペリカンには根強い人気があり、訪れる人だけでなく全国から配送の依頼が絶えないのでしょう。
奥の工場で焼かれたパンが次々運ばれてくる |
レジ横の壁に貼られた10種類の商品写真 |
次のページではそんなペリカンのパンをご紹介します。