パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

ブロート屋~ドイツパンの優しさと温かさ

ブロート屋は全粒粉やライ麦粉を配合した素朴なドイツパンが取寄せできるお店。砂糖、卵、乳製品、油脂不使用のものが多いのに、全体的に重くなく、柔らかく、優しい食感。そのおいしさの向こう側を取材しました。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

四万十川のほとりのパン屋さん

箱を開けると、素朴な表情のパンがごろごろと入っていました。読者の方からおすすめのパン屋さんがあると教えていただいて、遠く四国から取寄せてみたのです。

高知県は四万十川のほとりでパンを焼いているのは、ドイツで3年ほど修業した後、開業した栗本敏之さん。砂糖、卵、乳製品や油脂を使うパンは少なく、おもに全粒粉やライ麦粉の配合で変化をもたせた、ほんのりとブラウンがかったシンプルなパンを販売しています。が、それらは重すぎず、やわらかいのです。「ブロート」とはドイツ語でパンのこと。店名のようにとてもシンプルなパンが焼かれています。

奥から時計回りに、ビアブロート 330円、バウアーブロート 300円、クルミブロート 370円

栗本さんは日本菓子専門学校の研修旅行で初めて行ったドイツで、パンの大きさ、色、香りや味に感銘、こんなパンを作れるようになりたい、と思ったのだそうです。

ブロート屋のパンたち

人気のあるビアブロートは、ビールを使い、ふかして裏ごししたジャガイモを入れた、いかにもドイツらしいパン。ライ麦の配合は30%、軽いけれどもっちりした食感が楽しめます。

ビアブロート断面
ビアブロートクルミブロート
クルミブロート断面(ライ麦60%)

自分のパン

オープンしたての頃はお客さんから「どんな味なのか?」「どうやって食べたらいいのか?」という質問が多く、ひとりひとりに説明するのが大変だったそうですが、最近では嬉しいことに、お客さんそれぞれで「自分のパン」が決まって、扉を開けるなり「ビアブロートください」「ベルリンブロートください」とリピートして買い求める人も増えたそう。

わたしはまだ「自分のパン」とまでは行かないかもしれませんが、「ビアブロート」を再び注文していました。

ブロート屋のパンの楽しみかた

ベルリンブロート(ライ麦60%)280円
栗本さんは日々、どんなふうにこれらのパンを食べているのか、伺ってみました。

「スライスは1cm厚で、ハムやチーズをのせて食べます。そこにキュウリをプラスするのが好きです。あのひんやりとしたみずみずしさがパンと合うんです。 2枚のパンで挟むと、すぐにお腹いっぱいになってしまいますから、のせて食べるのがポイントです。次はチーズ、次はハム、次はちょっとジャムをつけて、最後の一枚はハチミツをたらしていただこう、なんて色々と楽しめますよ。あと、カレーやシチューのときも、パンにつけて食べます」

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