バター不足から生まれたおいしいものたち
ろみさんがメゾン ロミ・ユニの開店準備をしているときのこと、世の中は深刻なバター不足になりました。新規のお店には、問屋さんがバターを卸してくれません。生クリームをひたすら泡立てていくと、半分量のフレッシュなバターができます。そのときの副産物、バターミルクによって、素朴なソーダブレッドが生まれました。
アイルランド風のソーダブレッド(1.5円/g) |
スコーンは国産小麦のスコーン・メゾン、フランス小麦のスコーン・フランセーズ、紅茶のティースコーン、そして北海道産のライ麦と全粒粉をいれたスコーン・カンパーニュなど数種類で、使用バターもそれぞれ。 |
さらに、ろみさんは、北海道のノースプレインファーム、町村農場、佐渡ヶ島の佐渡乳業など、生産者を直接訪問し、お願いしてバターを少しずつ分けてもらったのだそうです。
「牧場でバターをつくり、流通までやっている人は珍しいんだということがわかりました。バター不足は、あたりまえと思っていたことを見直すきっかけになってよかった。魅力的な人たちと出会えて、よかったです」
それぞれのバターは、風味の特徴によってさまざまなお菓子に使い分けられています。
家庭でのお菓子の提案
「菓子研究家として、一番根っこの部分に、手づくりする楽しさを広めたい、という気持ちがあります」ろみさんは言います。「日本人は焼き菓子を、このほんの何十年かで一気に習得した感じですけれど、もともと材料もあって食文化として根付いている国では、家庭にも脈々と受け継がれているんだなぁと思うんです。だからわたしは、無理のないかたちで手づくりのお菓子を普段の生活に取り込む提案をしていきたい。家でできるイベントとして、お菓子づくりを提案していきたいなぁと思っているんです」わたしは個人的に、レモンアイシングをこよなく愛しています。だから上の写真で駄菓子屋さんの容器に入ったレモンクッキー(100円)やウィークエンドがとても気にいりました。
ケイク・オ・シャテーヌのマーブル模様は和栗のペースト、ということは、口に入れて気がつきました。洋酒やスパイスでの香りづけはせず、栗を贅沢に愉しむ、季節限定のケーキです。
家庭でのお菓子の楽しみを広げるお菓子教室は2Fにある。 |
さて、次のページではパンの親友、ジャムをご紹介します。