パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

アラン・デュカス~進化するbe

フランス料理界の巨匠アラン・デュカスプロデュース、パンと食材の店be新宿店がメニューを一新。持ち帰りできるレストランの味、名脇役としてのパンそしてデュカスさんの幼い頃の記憶のパンをご紹介します。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

パンのラインナップを一新

2006年、伊勢丹新宿店に日本初出店したbe(ビー)はフランス料理界の巨匠、アラン・デュカスがプロデュース、レストラシオン・ラピッド(お持ち帰りのできるレストランの味)をコンセプトにした、パン、惣菜、デザートそして食材の店です。

料理のショウケースの上に料理と共に愉しむプティパンが数種類。

この6月、伊勢丹新宿店食品フロアリフレッシュオープンを機に、1号店ではメニューを一新、パンも料理に合うシンプルな食事パン中心のラインナップになりました。

アラン・デュカス セミナー 進化する<be>

リフレッシュオープン前日、伊勢丹で行われたセミナーで、アラン・デュカスさんにお話を伺いました。

おすすめの定番料理ブーダン ノワール、パン ド アラン・デュカス、ブランマンジェ
アラン・デュカスさん
忙しくて時間がなくても、おいしく、豊かな食事がしたい。そんな現代人のニーズに応えて2002年パリで生まれ、日本に上陸したbeの料理は、デュカスさんが大切にしているフランスのテロワール(地方性)が生かされ、フランスの食文化、伝統を伝えていますが、日本の環境や季節感も考慮されています。

「今の時代のお客さんにいかに愉しんでもらえるか。食事のほんのひととき、フランスの旅を体験していただけるような感動のある料理を提供したいと思っています」とデュカスさんは言います。

「beは現代フランス風デリ、と言ってもいいでしょう」 普通のパン屋さんやお惣菜屋さんと違うのは、そこに 食材の品質、料理の技や創造性に自信を持つレストランのシェフの存在があること。ベージュ アラン・デュカス東京の総料理長を務めたダヴィッド・ブランさんを筆頭に、惣菜、パン、デザートそれぞれを一流のシェフが担当しています。

beを訪れてどの料理を選ぼうか迷うことがあったなら、バスク地方の郷土料理、ブーダン ノワールの一皿を、是非。

豚の血のソーセージ(!)というとワイルドな感じがするのですが、これはスパイスのきいた上質なパテのよう。デュカスさんのオーベルジュ、イパルラで作られています。

ブーダン ノワールにリンゴのマーマレード、トリュフ入りじゃがいものピュレ、ジャガイモのグラタン、パプリカのソースが添えられた一皿がこの夏のおすすめのメニューです。これらすべて、パンにつけたりのせたりしてもおいしくいただけます。

持ち帰って盛り付けるときには、パプリカのソースで描く模様が「にわかシェフ」の腕のみせどころかもしれません。わたしが試食した一皿にはソースで「!」マークが描かれていました。そう、まさに美味の「!」を体感しました。

料理に合わせたいパンの新作は「パン ド アラン・デュカス」。これはデュカスさんの幼少時代の思い出のパン。シェフブーランジェの本間さんがいたからこそ、記憶の味の再現ができたのだそうです。どんなパンでしょうか。次のページに続きます。


左からデザート担当の近藤智子さん、惣菜担当の上田達生さん、パン担当の本間智哉さん、グループ・アラン・デュカスのコーポレートシェフパティシエのニコラ・ベルジュさん、エグゼクティブシェフのダヴィッド・ブランさん。

次のページではbeのパンについてご紹介します。
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