パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

和菓子から始まったパン屋、ほうげつ堂の新装開店 昭和の郷愁香るパン屋さん

大正15年創業、川口の地で3代続くほうげつ堂はまさに日本の昔ながらのパン屋さん。市の再開発を機会に同じ場所で新装開店しました。長年地元のお客さんに愛されているパンをご紹介します。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

欧風のハード系のパンを焼く今風の店と大手チェーンの店の間で、個人経営の昔ながらのニッポンのパン屋さんが減少しつつあるこの時代、店舗改装や世代交代を機に元気よく再スタートを切る店もあります。

和菓子屋から始まった日本のパン屋さん


大正15年創業、川口の地で3代続くほうげつ堂は、市の再開発で旧店舗が取り壊しになり、2年半のブランクを経て新築の高層マンションの1階に新装開店しました。

店の3代目ご主人、矢作さんはこの地で80年近く売られているパンを再び作り始めました。

一番人気はレーズンブレッド。みずみずしいレーズンがぎっしり巻き込まれたこのパンには予約がたくさん入ります。

そしてここならではのパンがあります。ほうげつ蒸しパン。創業当時和菓子も扱っていた名残でしょう、自家製の漉し餡の入った、饅頭のようなパンです。


一番人気のレーズンブレッドはレーズンがぎっしり。
蒸し器ほうげつ蒸しパン

  
売り場と厨房は素通しの窓で双方から様子が見える。
先代とご主人の間でパン作りを見る少年は未来の4代目かも?
ジャムなど挟んでもくれるコッペパンメロンパンは白餡入りもある

懐かしい昭和のパンたち

どこか懐かしい、昭和の香りを感じるこのパン屋さんには自家製の辛口カレーパンに、ハムカツ、バターボールにあんパン、ジャムパン、クリームコロネなどもあります。コッペパンにはジャムや餡、ピーナツクリームなどを挟んでくれます。

これらのパンは昔からほとんど変わっていないのだとか。
もとのパン屋のあった商店街はすっぽりとビルの四角い箱の中に収まった形になったけれど、そこに息づくものは何十年も変わらない気がします。買物袋を提げてパンを買いに来る地元のお客さん、そこで交わされる陽気で下町的な会話。

「スーパーと価格競争してはいけないと思いますよ。」そうつぶやく先代は長年この地でやってきた歴史を見方につけているのだと思います。それから、接客をとても大切にした初代の話や、神田に酒種を買いに行って麹を炊いてパンを作った時代の話をしてくれました。 開店の賑わいに和菓子を扱っていた当時の「お節句を思い出すわ」と目を細めるのは先代の奥さん。そしてこの新しい店を任され、てきぱきと働く矢作さんご夫婦。
そこには同じ地で何十年も続く頼もしいニッポンのパン屋さんの姿がありました。


設計施工 有限会社 東匠
ほうげつ堂

埼玉県川口市本町4-5-26
TEL:048-223-1315
営業時間 10時~19時
不定休

【関連サイト】
ガイドのパン屋取材レポート
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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