パン/パン業界情報、イベント

フィリップ・モレル氏による製パン技術セミナー NATURE DE PAINのスローブレッド

エリック・カイザー氏との共同出資で開業したNATURE DE PAINで、毎週5400個以上のヴィエノワズリーを売るというフランスの業界で話題のパン職人によるルヴァン・リキッドを使ったパンの講習会をレポートします。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

フィリップ・モレル氏とクロワッサン

フィリップ・モレル氏
フランスのルーアンの製菓製パン学校の講師を勤めた後、エリック・カイザー氏との共同出資により「ナチュール・ド・パン」を開業。現在フランスで最も注目されているシェフの一人。日本製粉で9月に開催されたベーカリーセミナーは、パンの素材や製法、食事をスローフードの精神で見直そうという思いが込められた「スローブレッド」がテーマでした。

パリの北、アミアンにある有名店「ナチュール・ド・パン」で毎週5400個以上のヴィエノワズリーを売るという、フランスの業界で話題のパン職人、フィリップ・モレル氏を講師に迎え、ルヴァン・リキッドを使ったパンの実演がありました。
たとえばルヴァン・リキッドを使用したクロワッサンは、長時間発酵によって味に深みが出るばかりでなく、パリパリした食感が長持ちします。作業行程に冷凍技術を取り入れることで、週に2度しか折込生地を作らなくても、毎日美味しいクロワッサンを提供できるのだそうです。

「重要なのは味覚の品質、すなわち美味しさ。クロワッサンが画一的な形であることは無意味です。」と手作業で成形するのも美味しさの秘訣です。

この記事ではセミナーで実演されたパンを簡単にご紹介します。


ナチュール・ド・パンのスペシャリテ、

クロワッサンの折込みと成形

実演された「スローブレッド」

Le pain soleil/aux figues/sportif
ナチュール・ド・パンのスペシャリテ、ル・パン・ソレイユ(上左)はひまわりの種入り。水分量が72%と多く、柔らかくしっとりと焼くパン。組み合わせる素材によってヴァラエティに富んだパンになります。クラストはカリっと薄く、クラムはもっちりしています。

フィグ入り(上中)はフォアグラを食べるクリスマスによく出るパン。昔はフォアグラ用の鴨にフィグを食べさせていたそうで、そんなところから相性が良いという説が生まれたそうですが、実際、フィグの甘さはフォアグラと非常に良く合うのでした。

ル・パン・スポルティフ(上右)はドライアプリコットと皮なしのヘーゼルナッツ入り。鉄分とミネラルがあるのでスポーツする人に食べてほしいということでこの名前。表面にまぶされているのは今回は発芽小麦フレークですが、ナチュール・ド・パンでは通常はそば粉を使用。

La Meule/La MeuleRay FlakeLe pain pays

ラ・ムールは石臼挽きの粉を使い、75%と水分量の多いカンパーニュ。
ル・パン・ペイは「その国のパン」という意味で北海道産の小麦粉を使った白焼きパン。

Le croissantLa brioche a l'eau de rose
ラ・ブリオッシュ・ア・ロードゥローズはバラ水と甘口の白ワイン入りのブリオッシュ。ヴァニラシュガーを入れた木の容器で焼きます。低速で1時間もミキシングするのが特徴です。

Les clafoutis aux fruits rougesLes clafoutis figues fraiches,Poires,pistaches
菓子として、クラフィティー2種(冷凍のグリオットチェリーとフランボワーズ、生のイチジクと洋梨)、ピスタチオ入りのフィナンシェが紹介されました。

こういうお菓子があるパン屋さんは日本では少ないので差別化が図れると思います。
Le financier griottines-pistaches
BOULANGERIES/PATISSESERIES "NATURE DE PAIN"
428,AVENUE du 14 JUILLET1789-80000 AMIENS
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