自家焙煎コーヒーの店カフェ・バッハは東京の下町に開店して30余年になります。ご夫婦2人で始めたこの店のコーヒーは、2000年の沖縄サミット首相晩餐会では各国首脳をもてなしました。 平成15年8月末に日本パン菓新聞社の創業55周年記念セミナーが東京アメリカンクラブで開催された際、カフェ・バッハ店主の田口護さんの講演がありました。 テーマは『パンとコーヒーの相性学』。 素敵なお話でしたので、その内容をお伝えします。 田口護さん 田口さんが今まで開業など手がけた喫茶店は100店舗以上になるそうです。それらがバッハ・コーヒーグループを名乗らず各自の名を掲げているのは、自分ならではの努力ができるやりがいある店作りを田口さんが推奨しているからなのだそうです。 沖縄サミットで供されたバッハブレンド 写真の焼き菓子はパンドジェンヌ コーヒー生産国と消費国40数カ国を視察した経験のある田口さんは、ヨーロッパのカフェは日本のように儲けの構造でスタートしたのではなく、そこには培われた歴史、厚み、質感があると思われたそうです。 そこで、「いくらで作って何個売れば儲かる」という考えではなく、良いものを作れば売れるという考えでカフェを経営してこられました。 正しいコーヒーのスタンダードを消費者に知らせないで来てしまった日本のコーヒー業界、飲み慣れた味を良いものと勘違いしてしまっている消費者を懸念し、良い豆を選び、本物のコーヒーを提供し続けるカフェ・バッハ。 口に入るものはまず「良い」ものであってこそ「美味しい」を語ることができると言う田口さんが「本物のコーヒーを飲みに来られるお客さんのためにには本物のパンを提供しなければ」と考えたのも必然的なことでした。 店の2階では毎日、その日のためのパンが焼かれることになりました。 このパンの役割が大きかったのです。 その役割とは・・・次のページで |