パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

家族経営の店の理想のかたち 麻布十番 ポワンタージュ

ブーランジェリ、トレトゥール(惣菜屋)、カフェ、バール、クッチーナ(食堂)の要素を持った麻布十番のポワンタージュ。兄弟で始めたその店のパンと料理の魅力をレポートしました。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

昔ながらの商店街のある麻布十番に2002年6月、ポワンタージュはオープンしました。 ブーランジェリだけでなく、トレトゥール(惣菜屋)、カフェ、バール、クッチーナ(食堂) の要素を持った家族経営のお店です。


パンを焼くのは中川清明さん。料理は弟の英司さん。 パンの補助は清明さんの、デザートは英司さんの奥様がそれぞれ担当されています。
ハード系からデニッシュ、惣菜パンまで揃い、コロッケ、カレー、あんこを使ったパンもあります。 これは英司さんが作られるのかと思いきや、料理とサンドウィッチの仕込みに追われる彼に代わって、 お母様が担当されているそうです。コロッケ、カレー、あんこはやはり母の味にかなうものなし! なのでしょう。なんとも素敵なファミリービジネスです。


いろいろ野菜(なす、カラーピーマン、エリンギなど)のカレーパン

中川さんの家は先祖代々この土地で酒屋さんを営まれていました。家族みんな食事パンが 好きでしたが(今でこそ、メゾンカイザーポールなどが比較的近くにあるものの)以前は本格ハード系の 店がなかったことから清明さんはパン屋を目指します。


レトロバゲット・グロ(中身の多いフランスパン。自家製レーズン酵母)

ポワンタージュの看板の前にNOBILE DRUPAと書いてあるのは弟の英司さんが修業した イタリアのエミリオロマーニャ地方の最高級オリーブオイルの名前です。 先に独立し、兄の清明さんを誘った弟英司さんの受け持つクッチーナの部分をさしますが、店は全体で 「ポワンタージュ」で良いのだそうです。 ポワンタージュの意味は一次発酵。店のパンは長時間発酵に重点が置かれているのです。

それではパンと料理をご紹介していきましょう。

最初にバゲットとレーズン酵母のレトロバゲット、リュスティック。これらは時間と技の旨味が 凝縮された素晴らしいもの。


リュスティックマロングラッセ
他にプレーン、バジルやブラックペッパーの入ったフロマージュも。

そして大納言のフランスパン、トロワセック(グリーンレーズン、クランベリー、アプリコット)は清明さんが一時期 修業されたペルティエの影響でしょうか。ファンのわたしは懐かしい友達に会ったみたいな気持になります。
自家製の酵母はレーズンの他に小麦粉から起こしたルヴァンリキッドやリンゴ酵母なども試されているのだとか。
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