鈴木氏の考えるサンドイッチ |
サンドイッチは鈴木氏が今最も力を入れている分野。
料理とパンを一体化させ、サンドイッチと言う形で提供していきたいと思っています。 お料理パン、ですね。 今考えているのは、持ち帰って家で温めて食べるもの。 例えばチャイニーズのチャーシューサンドとかね。 と言ってもラーメンに入れるようなチャーシューではありませんよ。
なにか特別の味付けが?
今までのサンドイッチではなくチャイニーズテーブルのディッシュの感覚になるように考えています。
なにやら面白そうです。
この夏はタイの香辛料をうまく効かせたちょっと辛いサンドイッチを出す予定です。 秋以降はチャイニーズ、というように、ここにしかないものですね。 でも無国籍料理というのではありませんよ。ミックスでは主体性がないからね。
国籍を越えたグラングルマンのサンドイッチ。現在(いま)に生きる人が美味しいと思うサンドイッチ。 わたしはそれを上手く想像できなかったけれど、なにかとても楽しみな気持ちになりました。
取材の翌週もサンドイッチのための何度目かの上海行きを控えた鈴木氏にとって、出張とは 必要に迫られて料理をコピーしに行くのではなく、いつも考えていることについて 確認のために行くものなのでした。 彼はフランスはもとより、上海、シンガポール、香港などで西洋と東洋が クロスしたクオリティの高い料理を、あるいは京都で日本料理の真髄を、と味の追求に余念がありません。
パンも作るけれど作り手のプロではなく食べ手の超プロ。
偉大なる美食家、鈴木氏は ご自分についてそう語ります。
フランスのミシュランの星はもう500星くらい召し上がったそう。500星! 店内のカフェの壁にはそうしたレストランのメニューが額縁にコラージュされていました。
この中でパンが印象的だったのは?
ロブションも、シャルルバリエも、ピエールガルニエールも美味しかったけれど、 フランスでは普通のレストランのパンのレヴェルの高さが印象的だった。
パンと共に生きる料理をいつも食べていないと駄目。 料理を知らないでいたら一緒に食べるパンを作ることはできないでしょう。 料理を作り、食べる経験が豊かだからこそ食事パンというものを作ってゆけるのです。
彼の頭の中には美味しい料理という枠が先にあって、その中でパンを考えて行く、そんな過程があるようです。 多くの経験と知識から創り出される料理。料理とパンを切り離さない。 Directeur Artistique(クリエイティブディレクター)でありエグゼクティブシェフの肩書きを持つ、 鈴木氏のポリシーなのだと思います。
次はカフェの温かいサンドイッチについてご紹介しましょう。