「できるだけ楽をしておいしいパンが作れたらな…って思いませんか?
立派な見事な焼きあがりじゃなくても手作りのパンは大事に食べたい気持がします。」
ブックカバーについた帯に書かれた言葉に惹かれてこの本を手に取リました。
「堀井和子の気ままなパンの本」です。これは作者の堀井さんがニューヨークで出会った、
いろいろな国のパンのレシピとエッセイの本です。
堀井さんは粉料理研究家。料理スタイリストとして活動後、ニューヨークで3年間暮らし、
帰国後、パンや菓子などシンプルでスタイリッシュな本を出版されました。
その素朴でありながら抜群のセンスのレシピにはアメリカやフランス、北欧、そして
日本の地方のおいしさが大切に生かされています。
パンの本と同じシリーズで「堀井和子の気ままな朝食の本」「おいしいサンフランシスコの本」
などを読み、シンプルな配合の食べ飽きないパン、暮らしのスタイルのようなものをわたしは学びました。
以来、旅に出る時、パンやお菓子を作る時、数えきれないほどの素敵なヒントをいただきました。
例えばわたしが実践したのは朝食屋さんを巡る旅、初めて焼いたプチパンや、堀井さんのレシピをもとに考えたウェディングケーキ。季節の惣菜。人参サラダにレーズンではなく生のデラウェアを入れたりするハッとさせられるようなセンス。
今、暮らしの楽しみを綴る個人のHP を訪れると、彼女のセンスに影響を受けたと言う方、
その本によって楽しくパンを焼く生活をされている方がたくさんおられるのを目にします。
国内外を問わず堀井さんにセレクトされたもの達は素朴だけれど洗練されている、そう感じます。
個人的嗜好ですが良いな、素敵だな、とわたしが追い求める雰囲気がそこにあります。
今の仕事をされているのは、「好きなことを追求した結果」と堀井さんは言います。
自分の「好き」に忠実で妥協しない、けれどひとには強制しない、そんなスタイルに
共感するひとが多いのではないでしょうか。
上記の本(白馬出版)は全て残念ながら絶版ですが、
ひとつのシンプルな生地をマスターすれば、応用で色々なパンを焼くことができる
「堀井和子の1つの生地で作るパン 私のパンのおいしいレシピ」(1996年 文化出版局)「モーニングブレッドとパンケーキ」(1998年 柴田書店)
などの本がいくつか出ています。チーズの本や週末のブランチにぴったりの本も
日々の食生活を素敵なものにしてくれます。
近著にはエッセイ「小さな家とスイスの朝食」(2000年 KKベストセラーズ)があります。
エッセイは同じ出版社からまた6月に、テーブルまわりのコーディネートの本が文化出版局から秋に出版予定で、
そのための撮影が大変な毎日だそうです。
堀井さんにパンについて伺ってみました。
本を見てパンを焼く時一番大事、また気をつけなくてはならないことは何ですか。
パン生地をその時その時よく観察すること。
何回か自分の家のオーブンで焼いてみて調整することです。
最近一番よく召し上がるのはどんなパンですか。
相変わらずシンプルな基本的なパン生地で形はプチパンや田舎パン、クッペの形です。
しっかり焼き色をつけるようにしています。
以前BAGELというブランドのお皿やグラスを作られていましたが、パンまわりの雑貨をまたお作りになるご予定はありますか。
デザインには興味がありますが今のところありません。(残念!)
”BAGEL”のお皿に
自家製パンを乗せて
形が違うと食感も違うシンプルなパン。温度や湿度、オーブンと相談しながら
臨機応変に焼いていきたいですね。季節の惣菜と一緒に、こだわりのジャムやバターと。
好きなクロスやグラス、カップやカトラリーと共に楽しみたいですね。
家族や友人に喜んでもらえるようなパンを焼きたいと言う気持、
パン屋さんとは違い、売価を考えなくても手間をかけても良いのです。
きっとパン屋さんに負けないおいしいパンを作ることができるのです。
トクベツな飾りや材料は必要ありません。好きという気持とこんなセンスがあったら、きっと。
堀井和子さんの本は初めて自分のキッチンを持った方にも、お勧めです。