うどん/その他のうどん

釜揚げうどん専門店 根津 釜竹 文京区根津

大阪羽曳野市の釜揚げうどん専門店の支店が根津に登場。明治時代の蔵で食べる至福の2つのメニュー。大人の時間を堪能できる。

執筆者:蓮見 壽


明治時代の蔵を店舗にする釜竹

根津 釜竹 石蔵



店の入り口へのアプローチ
釜竹はかまちくと読む。大阪府羽曳野(はびきの)市に1985年創業という本店があるが私はまだたずねたことがない。釜揚げうどんとざるうどんだけで勝負するのは根津の新店舗も同じ。2005年10月東京進出根津の景観に融ける見事な店舗が完成した。
東京メトロ千代田線根津駅から徒歩5分ほどだろうか高級老人ホームウイーザス根津の一角、明治43年に建てられたという石蔵とガラスを利用したモダンな建物が根津 釜竹 石蔵だ。谷根千と呼ばれる(谷中・根津・千駄木)この界隈は明治の文人墨客が愛した土地柄で近くには森鴎外や夏目漱石、樋口一葉などの居住跡など縁の建物や博物館がたくさんある。腹ごしらえして散策するのも楽しい。
開放的なガラスの向こうに庭が見える。庭を見ながらのうどんはしばし東京にいる事を忘れさせる。
不忍通りと言問通りにはさまれた一角だが本当に静かで時間の流れが止まっているようにも感じられる。
大テーブルで庭を眺められる席に案内される。後ろは蔵への入り口。こちらは座敷に仕上げられているようだ。太い梁が何本も見える。頑丈そうな石造りの蔵である。次回はこちらで食べてみたい。


釜揚げうどん専門店



自慢の釜揚げうどん
うどん店のメニューとしては私の知る限り最小のメニュー数かと思う。
基本的に3種。
釜揚げうどん850円、釜揚げうどん大盛り950円
ざるうどん 900円、ざるうどん大盛り1,000円(太打ちと細打ちが選べる)
ねぎの追加 100円
他にうどんのお品書きは無い。
麺前酒として日本酒の選りすぐり
季節の肴としていろいろ用意はあるがうどんにかける意気込みが凄い。


細打ちのざるうどん



絶品の手打ち細打ち麺
まずはざるうどんを細打ちのうどんで注文。
待つ間庭を眺めている。12月都内も紅葉する。静かだ・・・隣接する建物は木の質感を活かした根津らしい建物。老人ホームらしいがこの釜竹の建物と一体化していてこの庭を共有している。
店の奥からはトントントンとうどんを切る包丁の音。切りたてを茹でるようだ。先客の女性二人の注文の品が運ばれてきた。
大きなざるに極細のうどんが整然と並んでいる。大盛りのざるのようである。この量と姿を見るとこれから出てくるうどんは期待できる。
小さな声の会話が聞こえてくる。「この大盛りのうどん量がちょうど良いのよ・・・」あとは聞き取れなかったが若い女性の会話としては大変頼もしいものを感じる。さすがにこのあとの食べ方までは注視しなかったが上品に召し上がられていた。




庭を眺めて一味アップ
さて私のざるもできあがってくる。一回り小ぶりのざるだが普通の大きさだ。6ブロック程に盛り付けられた細打ちうどんはツヤツヤピカピカ。稲庭うどんを思わせるような仕上がりである。一筋何もつけずに口に運ぶ。チュルリと音を立てたようにも思えるがしなやかに口の中で生きているように暴れる。ああこの食感は半生の稲庭うどんに良く似ている。見事な細さからは想像できないコシと喉越しである

やや淡色のつゆにうどんをつける。薬味は無し。鰹節の複雑に絡み合った深く香る美味いつゆだ。うどんとつゆでより麺の旨みが強調される。
少しまとめて口の中に入れ数回かむようにして喉に流し込む。もちろん考えながらしているわけではない。口に入れば反応する。スズッと手繰って飲み込む。他人が見れば噛んで無いと見えるかもしれない。一口ごとに薬味の九条ねぎを足したり、生姜を加えたりとして一枚をあっという間に食べ終わる。


釜揚げうどん



釜揚げの汁徳利
看板メニューである。こちらもトントンとうどんを切る音が聞こえてきてからうどんが出てきた。注文ごとに製麺しているようだ。
テーブルに大徳利が運ばれてくる。大きく重そうで注ぎ口近くに紐が巻かれている。さすがに香川県のうどん店のように電気配線用のケーブルが巻かれていることは無い。電線は電線で実用的で悪くないと思うが・・・このお店だと雰囲気はそぐわない。ちゃんと計算された演出だ。ちなみにこの徳利は大阪本店も同じもののようだ。そんなことを考えて待っていると程なくうどんが出てくる。



小麦粉と水と塩が作った極楽
比較的大きな丼にたっぷりとうどん入っている。うどんは太打ち。常識的な太さでうどんのスタンダードの太さだと思う。少しにごった茹で湯に浮いて出てきたから本格的な釜揚げである。まずは一本取り上げてそのまま口に運ぶ。本当にかすかな有るか無いかの塩味。煮詰まった茹で湯ではない。もちっとしたうどんは淡白だが小麦の滋味を口の中に感じさせる。国産小麦のような香りの強さは感じないが粉の旨みの甘さは感じるので丁寧に作られたうどんであることがよくわかる。
熱いつゆにつけ一口、ねぎを入れて一口、生姜を入れて一口。ズルズルとすすりこむ。たくさん付いてくる九条ネギは軽くさらされているようで食感が良い。強い香りや辛味は一歩引いてうどんの香りを邪魔しない。ねぎだけつゆで食べられる量が有るのでねぎ好きには嬉しい。一息ついてつゆをまた注いでねぎを平らげる。


太打ちのざるうどん



太打ちうどんは力強い
うどんの量はけっして少ないわけではない。きちんと一人前は普通の人が満足できる量が出てくる。茹で上げ250から300グラムぐらいの量は有りそうだが、私は興が乗ってきた。釜揚げうどんを食べている途中で太打ちうどんも注文した。
またトントントンとうどんを切る音が聞こえてくる。
ツヤツヤの太打ちうどんが出てくる。エッジも美しくでている。このうどんを見て感じたのはこの釜竹はいわゆる大阪うどんの店ではないと言うことがわかった。美味いうどんを追求した結果たどり着いたうどんを出す店だ。予備知識として修行先や系統と言うものは知らないが讃岐うどんや関西うどんという範疇に縛られないうどんになっていると思う。



太打ちのざるうどん
太打ちうどんはしっかりとしてコシの強さが前面に出たうどんだった。いつもより余計に噛んだ様に思うが、ある意味お腹が一杯になっていたのかもしれない。3枚食べて大変満足した。笑みがこぼれてくるのが自分でもわかった。
しばし食事のあと庭を眺めて余韻を味わう。
まさに時間が止まったようでどのくらいの時間が経ったのかすぐに実感できなかった。冬の日差しの中、葉を落とし始めた木々の木漏れ日を眺めながら幸せを味わったような気がした。美味いうどんと美しい時間を味わった充実感に満ちていた。
釜竹はわざわざ食べに行っていただきたいうどん店だ。期待は裏切らないだろう。


充実の日本酒


利き酒師の店主が選ぶ日本酒は充実している。
黒龍・秋鹿・儀侠・十四代などの吟醸酒が並ぶ。
この酒に似合う凝りすぎないシンプルな季節の肴が各種用意されている。
左党は夜のお楽しみでゆっくりできる時を見計らって出かけてみたい。
【根津 釜竹DATA】
113-0031
東京都文京区根津2丁目14-18
電話 お店の都合により掲載しません。
営業時間 11時から14時  17時から20時
日曜・祝日 11時から14時 16時から19時
うどん売り切れによる早期閉店の場合あり。



看板メニュー
メニュー
釜揚げうどん(太打ち) 850円
大盛り釜揚げうどん 950円
ざるうどん 900円 (太打ち・細打ちが選べる)
大盛りざるうどん 1,000円
ねぎの追加 100円
店主推薦の日本酒各種 グラス600円より

釜竹 大阪本店
大阪府羽曳野市はびきの3-5-10

釜竹付近のYahoo!地図情報

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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