稲庭うどん作りを体験できるというので、紅葉の秋田稲川町を訪ねてみた。大曲から車で約1時間。穏やかな田園風景やりんご畑をすり抜けるようにして稲庭うどんの里、稲川町に向かった。
本店脇に昨年併設された体験工房では稲庭うどん作りの一部を体験できる。事前予約が必要なのだが約1時間強の時間で稲庭うどんの製造工程を体験できる。
まずは体験工房にて稲庭うどん作りに挑戦してみよう。その前に工場で作られる工程を紹介しておく。
【稲庭うどんの製造工程】
七代佐藤養助商店の工程は完成まで機械を使わない手作業で行われる。
●一日目
1 練る 専用小麦粉に塩水を加えて練る。手作業で練る。足では踏まない。
2 熟成
3 練り返し なじんだ物をもう一度練り返す。
4 熟成
5 小巻 熟成した生地をひも状に切り出す。
6 熟成
●二日目
7 綯う 二本の棒に綾がけする。8の字を書くようにひも状の生地を綯(な)いながらかけていく。
8 熟成
9 つぶし 打ち粉(でんぷん)をかけてローラーをかける。生地が伸びて平らになる。
10 熟成
11 延ばし 120センチ程度に引き伸ばす。
12 補助乾燥
●三日目
13 乾燥
14 裁断 規定の長さに切りそろえる
15 選別 太さを整える
●四日目
16 品質検査
17 検品
18 包装梱包
19 出荷
大筋は以上の工程で作られるが全工程では4日を要する。製麺に直接かかわるところでは3日。一日25Kgの袋が40程度が工場で消費されるらしい。
さすがに体験するために3日通い詰めるわけにはいかないので体験工房では主要工程の2日目の綯う・つぶし・延ばしが体験できる。これを1時間程度で効率よく教えてくれる。時間がたくさん取れる場合は小麦粉に塩水を入れて練るところから体験することもできるようだ。その場合は午前中から午後までの時間が必要だ。
★体験工房のプログラム★
【粉・加水・塩分濃度】
粉の種類、塩分濃度や加水率の詳細な解説は工房ではされなかった。まず練りの終わった生地と小巻された生地が用意されている。粉は専用粉でニップン製養樹というものでおそらく養助商店の特注専用粉だろう。詳細はわからないが以前に読んだこと事のある資料では薄力粉と中力粉のブレンドだということを記憶しているが、現在も同じかどうかはわからない。たらいに入った生地は18キロと言われたような気がする。加水は勘ということになっているが多分勝手な予測だが25キロの半袋12.5キロに5.5キロの塩水が入るのではないだろうか。蒸発する分を考えるともう少し水は多いかもしれない。6キロ程度入ると練りやすいかも。足踏みをせずに手だけど練ることを考えると加水が多くないと厳しいかも知れない。
【綯う】
2本の金属棒に向かって座り2センチ程度になっている生地を綯いながら7ミリ程度にして綾がけしていく。隙間をあまり大きく開けないように太さをそろえてかけていく。素人作業はぎこちないが職人さんがすると一本をかけるのに1分とかからない。投げるような速さで巻きつけていく。
【熟成】
うどん作りには一工程ごとに熟成が入る。この熟成でグルテンが強くなっていく。時間で生地がどんどんとなじんでゆく。練った後の熟成、練り返した後の熟成、綯った後の熟成、つぶした後の熟成。延ばした後の熟成と・・・手間隙がかかる。綯った後の棒は熟成用の箱でねかされる。
【つぶし】
熟成するのを待っているわけにもいかないので先に仕込んでいただいてた生地を使ってつぶしの工程に入る。
棒を引っ掛ける金具が付いた台に片側の棒を固定して引っ張って延ばす。強い弾力を感じる。ゴムを延ばしたような生地の強さはちょっと驚きである。ここにでんぷんを振りかけて麺棒でつぶす。丸かった断面が四角くなる工程だ。隙間に手を入れて一本一本が離れて打ち粉がまわっていることを確認する。また熟成用の箱にいれて寝かす。
【延ばし】
棒の片側を高い位置に差込片側を持って引っ張るとビョーンと伸びる。細く美しい麺線が出来上がる。ここでも一本一本の様子を見ておく。はがしておかないと後でくっついたまま乾燥する。120センチの長さに固定して乾燥させる。ここまでが体験工房の作業だ。
乾燥室で乾燥させて裁断をして選別をせずに全量を体験者送ってもらえる。体験した翌日の夕方には発送可能のようだ。仕上げはもちろん職人さんがしてくれるのでできあがった稲庭うどんの味は確かなものである。かんざしと呼ばれる棒にかかっていたU字型のうどんも入ってくる。700グラム相当が送られてくるからかなり食べではある。
体験工房料金
大人一人 700円(材料費込み)
中学生500円 小学生300円 うどん送料別
【DATA】
有限会社 佐藤養助商店
012-0169
秋田県雄勝郡稲川町字稲庭229
本店電話0183-43-2911
工場見学問い合わせ 0183-43-2226
佐藤養助のWEB