思い立ってうどん屋めぐりに出かける。今回は温泉付の豪華版。そうは行っても日帰りである。初夏の一日をドライブとうどんと温泉で楽しむ。
向かったのは伊香保温泉。そして水沢観世音の門前に位置するうどん地帯『水沢うどん』である。
関越道の渋川インターチェンジから約30分、うどん店密集エリアに到着する。13軒はあるだろうか。どこも立派な構えのお店である。本日の訪問店はその中でもひときわ歴史と格式を誇る創業から420年の歴史を誇る『元祖 田丸屋』。天正10年(1582年)の創業というから日本最古のうどん専門店かもしれない。広大な駐車場と歴史を感じる庭と建物。中に入ると落ち着いているがとてもモダンな店内。テーブル席、座敷とニーズに合わせられるようになっている。駐車場の広さは温泉客や水沢観音参拝の団体客のニーズに充分こたえられるような体制なのだろう。もちろんうどん目当ての観光客も多いはずだ。
通されたテーブルは庭が見える落ち着いた席。裏山から流れ落ちる水は湧き水だろうか。自然を取り入れた見事な庭がある。注文したのは『三楽御膳2色汁』天ぷら三品に山菜の煮物、冷たいざるうどんに醤油だれ、胡麻味噌だれの2種のつゆがつく。まさに膳と呼ぶにふさわしい見事な演出の膳が出てくる。讃岐のセルフのうどんも魅力だがその対極のうどんだ。価格は1600円税別、この立地とこの演出、そしてなによりこの味なら充分に納得だろう。
【うどんの薀蓄】
うどんは3種の小麦粉をブレンドするそうだ。国内産も含まれるという。うどんは半透明できらきら輝く伸びのある喉越しのよいもの。当然茹で立てである。腰も強く弾力も申し分ない。地粉を含むというのが信じられないくらいすっきりとした洗練された味わいを持つ。地粉は小麦の香を引き立てる役割かもしれない。多加水、高濃度の塩水でゆっくりと二日かけて熟成製造される。この状態のうどんを団体のお客さんに一度に出すのは大変な苦労だろう。まったく手抜きの無い立派なうどんだ。
【お土産・ネットショッピング】
うどんは生の状態でお土産うどんとして買える。日持ちは冷蔵1週間。日持ちさせたい場合は半生うどんの用意もある。うどんに感動したらお土産も忘れずに・・・もちろんWEBからの注文も可能である。水沢まで来られなければ取り寄せて味わうのもよいだろう。味は保証します。指示通りの茹で方をすればまず失敗は無いだろう。説明書きが丁寧で美味しく食べてもらえるようにポイントをしっかりと押さえている。
【つゆの薀蓄】
田丸屋のWEBを見るとホームページに『胡麻だれ』の作り方がのっている。それだけこだわりが感じられるアイテムだ。金胡麻と赤味噌と砂糖、醤油だれとハーモニーは素晴らしい。上品で味わい深い香とこくのある風味は田丸屋のうどんによくなじむ。2色だれの場合は醤油だれのほうから食べることを薦められる。胡麻だれはこくがあるので先にこちらを食べると醤油だれの繊細さが薄れてしまうからかもしれない。その醤油だれも秀逸だ。本枯れ節と利尻昆布、本返しでの作りだから手抜きは無い。まっとうに作られているものは美味い。たっぷり付いてきたつゆは・・・少しお湯で割って飲み干してしまった。その時に鰹の香が馥郁と立ち上がる。気持ち甘めの仕上げがうどんに合う。うどん専門店の良さを存分に発揮している。
水沢観世音と温泉情報と田丸屋のデータは次のページ。