凛とした様式美に
モンターニュ通り周辺は世界一の観光都市、パリでも最もシックなエリアの一つだ。プラザアテネは通りに面した部屋の窓に赤い花が植え込まれているのですぐわかる、パリきっての最高クラスのホテルだ。アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネはメインダイニングとして正面奥に静かに構える。ランチの始まりは12時45分。しばしラウンジで待つと直に席に案内される。ホテル・プラザ・アテネ |
レストランのコンセプトは『伝統的・古典的なフランス料理を新しい視点で現代に蘇らせたもの』。そして味もは必要以上に複雑にならないようにひとつの皿に3つ以上の味を組み合わせないといったことを鉄則にしていると聞く。
アランデュカスのレストランはモナコ、NY、香港、東京と世界中に広がるがメニューはそれぞれひとつとして同じものはない。なので、それぞれのレストランにスペシャリテがある。
長年ミシュラン三ツ星を維持するアラン・デュカスの旗艦店 |
高い天井とゆったり配置されたテーブル、そしてテラス席。私は奥左の席に通されるとすぐに冷やされたシャンパーニュクーラーの登場だ。
「今日のシャンパーニュはデューツの2000年ヴィンテージのブランドブランかボランジェのロゼをご用意しています。」
選んだデューツは上品に枯れかけた中にも気品がたっぷり感じられる煌びやかな泡立ち、すっきりとした余韻。朝食を食べずに出たのでここで食欲のスイッチががっつんと入ってしまう。
しかし、デュカスの料理は私の予想以上に相当にクラシカルな重厚な料理が続いたのだった。まるで鎧兜を纏った戦国武将のような。しかし、姿勢は凛とした様式美の塊のような。揺るぎない歴史を継承し、柔軟に変化していく現代フランス料理とはこういうものだという自信、威厳、存在。すべてが詰まった世界最高のフランス料理を見てみよう。