東京エックスポーク
メインは東京エックスのローストを。東京エックスはその希少性から流通ルートが限られており、どこでも食べられる豚肉ではない。写真の通り脂身は少なく、これが豚肉か!?と感じる優しい味わいが特徴だ。ソースは白ワインと白ワインヴィネガー、エシャロット、ミニョネット、タイムをゆっくり煮詰め、ジュ・ド・ポーと少しのフォン・ド・ヴォーを加え更に煮詰めたもの。最後に加えるマスタードがソースにハリをもたらすのか、この繊細なポークと共にガストロノミーの桃源郷に連れこまれていく。見事なピンク色に焼き上げられる |
思えばここ5年くらいで豚肉はさまざまな変化を見せてきた食材ではないだろうか。脂身よりもキメ細かな肉質が楽しめるようになり、かつての「豚臭さ」はことごとく排除されているような気もする。個人的にはイベリコやピレネー豚のように脂身も適度にあって多少硬くても味のある豚が好きなのだが、これは好みの問題。要はその肉の特徴を理解し、どういったソースを合わせるか、だ。
デザート! |
視覚的に非常にシンプルに見えるのだが、味わいは非常に複雑。調理過程で幾多のプロセスを経てソースが作られていることがわかるのだが、この味わいの変化は例えばイタリア料理ではなかなか出づらいもののひとつだろう。ソースによって素材の旨味が緩やかに変化し、それがさらにワインと共に広く深く身体に染みこんでいく。高品質な素材を丁寧に仕込み、見せるときには余分なものは一切排除するシンプルな料理。
それは伝説の料理人、アラン・シャペルの料理にも通じるものに思えてならない。松嶋啓介の料理は時間をかけてそれをさらに進化させているとしたら、それは楽しみではある。何故ならば、料理のルーツという「軸」が見えているからだ
ここ最近開店したレストランの料理には美味しさはあるが、ぶれない「軸」を感じることがなかなかできない。アイデアに任せてただフランス料理「のようなもの」を作っているレストランがいかに多いか。松嶋氏は近年ワーホリでフランスに出掛けて安易な「修行」を重ねる長続きしない若い料理人が多いことを嘆く。
ただ美味しいだけのレストランではつまらない。私たちは美味しさだけではなく、もっともっと欲深くいろんなものを求めているある意味ユニークで困った生き物なのである。
KEISUKE MATSUSHIMA
住所:東京都渋谷区神宮前1-4-20 パークコート神宮前1F
地図
電話:03-5772-2091
営業時間:ランチ 11:30~15:00 (LO 13:30)
ディナー 18:00~23:00 (LO 22:00)
定休日:無休
総席数:70席 (個室2室あり)
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