個性的なワインリスト
個性溢れるワインリストから入ろう。八王寺にあるヴィーヴァンクラブというあまり知名度はないがコンディションのいいワインを輸入販売している会社がある。そこが扱うワインが多い。ワインを学び始めた頃、中野のビストロ「シェ・オノ」のご主人が薦めてくださったものがヴィーヴァンクラブが扱うワイン。澱みない、ピュアなワインが多かったことを記憶しているが、その多くが今でこそ認知されている自然派ワイン。鳩のローストにはやや強めの赤ワインを |
リストには著名な作り手はいないので、ブルゴーニュの人気ブランドなど皆無だ。しかし、先入観を持たず料理とワインを純粋に楽しむなら、心地よい価格と共に気持ちよく酔えるだろう。
6500円のコースを選んだ私たちはいつもの呑み助集団よろしくシャンパーニュ、白、赤と突き進み、〆はカルヴァドス。ワインリストを見ながらアレコレとワイン談義は楽しいが最近は酔いすぎて何を飲んだか思い出せないことも多くなってきた。男50歳を前にすると飲む量こそ減らないが記憶力は明らかに低下していく。
コースはアミューズから冷前菜、温前菜、魚料理、肉とデザートはリストから選ぶことができる。
軽く湯通しした肉厚の牡蠣は緩やかな潮味の効いたジュレに包まれる。冬の終りと春の始まりを繋ぐような海の幸に味覚がゆっくりと覚醒する。軽く熱を通すことにより凝縮した食感が楽しめるが最早これは突き出しではなく、料理としてカウントすべきものかも知れない。
ほのかな塩加減と牡蠣の味わいが食欲を駆り立てる |
オレンジとチーズの風味を携えたホワイトアスパラは太さはやや足りないものの、本数でカバーし、それなりにボリュームも十分。程よい苦味とオレンジの風味のヴィネグレットがワインと溶け合い、食欲のエンジン回転数が段々と上がり始める。
味わいよりも風味に美味しさを感じる |
カボチャのポタージュにはラングスティーヌのクネル仕立てが浮かべられる。ここでインパクトのある濃厚さを打ち出し、メインディッシュに繋げる盛り上げ方にシェフの意気込みを感じる。
かぼちゃの濃厚さがたまらなく刺激的だ |