フランス料理のワールドカップ
2年に1回、フランス・リヨンで開催されるフランス料理界のワールドカップとでも言うべき「ボキューズ・ドール(ボキューズ・ドール国際料理コンクール)」。世界中のトップ・シェフたちが規定の食材を使って腕を競うこの大会のすごさは、この秋、公開され話題になったドキュメンタリー映画「ファイティング・シェフ 美食オリンピックへの道」でも紹介されていた。日本ではまだまだ知名度は低いのが現状だ |
その国際的な大会の日本国内予選決勝は去る2009年11月15日(日)、会場は東京・国立市にある辻調グループ校「エコール辻 東京」だ。
当日は、全国から参加した1次予選の書類(レシピ)審査を勝ち抜いた6名のファイナリストたちが、次のステージであるアジア大会(上海で2010年3月に開催)行きの1枚の切符を争った。まるで、サッカーのワールドカップ予選と同じようなシステムだ。
最終的に24カ国に参加国を絞り込むために、日本国内で勝ち抜いた選手は、次にアジア大会で4位以内に入らないと、最終決戦である2011年1月のフランス・リヨンの本大会には参加できない。まさに、フランス料理の世界のトップ・シェフを決めるにふさわしい大会である。
コンクールは時間との戦いでもある |
2011年の本大会に向けて、今回、国内予選を勝ち抜いたのは、軽井沢・ホテルブレストンコート「レストラン ノーワンズ・レシピ」料理長、中洲達郎(32歳)。
さて、今回の日本国内予選でのテーマ食材は、フランス・シャラン産の鴨だ。これに2種類のガルニチュール(付け合わせ)を組み合わせる。しかも、第一次予選で提出したレシピ通りに制限時間3時間で仕上げるという制約付き。審査は審査委員長の平松宏之(株式会社ひらまつ代表取締役社長)以外は、全員、かつてのボキューズ・ドール日本代表のメンバーが務める。ちなみに、2007年の日本代表の長谷川幸太郎(サンス・エ・サヴール料理長)は映画「ファイティング・シェフ」にも登場。達者なフランス語でインタビューに堂々と答えていたのが印象的だった。
審査方法は、60点満点で、6人の審査員が、作業、仕上げ、盛りつけ、味などさまざまな観点から減点法で採点。結果は、1位から3位までの点差がわずかに14点という接戦。いずれも、だれが、優勝してもおかしくない熱戦だった。
3位までの点数は下記の通り。
1位 中洲 達郎 氏 297点(360点満点中)
2位 小霜 浩之 氏 286点
3位 坂家 剛史 氏 283点
そもそも、「ボキューズ・ドール」とは何か。