フレンチ/東京のレストラン

加賀料理とフランス料理の饗宴(銀座)(3ページ目)

加賀料理とフランス料理の融合とはいかなるものか。その答えは『ノドグロのヴァプールとずわい蟹ご飯』に見た。ベージュ アラン・デュカス東京で繰り広げられる美食の饗宴をぜひご覧いただきたい。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ずわい蟹ごはんの威力

さて、食事のクライマックスはこの時期、脂の乗りまくったノドグロのヴァプール。シャンパーニュの風味がついた贅沢な一品に添えられるは鉄釜で炊かれたずわい蟹ごはん!そこに黒トリュフが入ったソースが敷かれているという逸品。これは強烈な一皿だ。特にカニ味噌を仕込んできたあたり、これで絶対に満足させるぞ、という強い意志が感じられるもの。食べている私はまるで痒い背中を優しい手でかかれているような心境だ。ジェロームは彼の料理に対し、さり気なくギリギリのところでフレンチのエスプリを伝えているが、決して出しゃばらない、一歩下がって主に従う古風な妻といったところか。ほんのりとシャンパーニュの味わいを忍ばせたノドグロに彼のさり気なさが見て取れる。いや、実に旨い料理であった。
のどぐろ
忘れられない料理として記憶されるだろう

2人の個性ががっつりとぶつかるというより、高木氏の料理のグレードをさらに高めるためのサポートに徹しているというイメージだ。食後感は実に清々しく、そして心地よい満腹感に包まれていた。そしてそこには素材に敬意を払い、何を食べているのかがはっきりわかる料理でなくてはならないというデュカスの考えが正確に反映されている。
デザート
五郎島金時のモンブランに柿のソースが添えられる

和風フレンチなどと言った安っぽさは微塵もない今回の饗宴。日本とフランスの料理の奥深さとここまでの味わいを実現する技術。料理は進化していることを五感で実感できる今回の「饗宴」。15日の日曜日まで開催されている。

今日の食事を極めて冷静に振り返ると、メインで供されたのどぐろとずわい蟹ご飯だけでも食する価値がある。実に旨かった。ご飯のおかわりもしっかり用意されているのも嬉しい。

■Les Rendez-vous culinaires japonais
ベージュ アラン・デュカス 東京
「ランデヴー ~ 日本料理名店との饗宴」
第三回 金沢『銭屋
開催日:11月11日(水)~15日(日)
ランチ  1万7000円
ディナー 3万5000円
サービス料別途

東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング10階
Tel:03-5159-5500
営業時間
ランチ  11:30~14:30 LO
ディナー 18:00~21:30 LO
定休日:月休
銀座駅より徒歩2~3分程度
地図

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