荒地を葡萄畑に
この方が果たしてひとりで畑を耕し、収穫し、醸造できるのだろうか。。。誰もが最初はそう思うに違いない。ワイン作りは想像以上に過酷で、先の長い、天候に左右される不確定要素の多いビジネスなのだ。この樹がこれからのワインを作り出していく |
4月を前にした葡萄畑はこれから葉を、そして実をつける前の静かな時を過ごす。土壌から突き出た葡萄の樹々はまだ若く、年齢で言うとまだ幼児にも満たない位だろうか、しかし長い人生を生き抜く明確な意思を感じる、そんな想いがひしひしと伝わる。
池野氏は自分の理想とすべき畑を見つけるために時間をかけて県内をくまなく回る。過去何年か分の気象データを調べ、その時点で一番葡萄栽培に適したところを小淵沢の下笹尾地区に見つける。そこは南東に向かって理想的な傾斜がある、理想的な土地だったのだ。
虫取りも大事な畑仕事の一つ |
3ヘクタールに満たないこの小さな畑は、かつては地域の第三セクターが畑を管理していたと聞く。ほとんど放置されていたという畑は想像以上に荒れ果て、池野氏が辿りついた時には雑草は背丈以上に伸び、どうしようもない荒れ地と化していたという。
決めたポイントは年間の気温条件、そして日中の寒暖の差が大きいことだ。これはブルゴーニュのドメーヌで仕事をしていたことの経験によるものだろうか。この地の標高は750m。その点では、理想的な標高だそうだ。本場ブルゴーニュではコートドールの寒暖の差は激しい。朝晩は相当冷え込むが、日中はそこそこ暖かくなることもしばしばだ。そして土壌の力に加え、日照や気温の変化が葡萄作りに大きな影響を及ぼす。そういった諸条件がこの小淵沢に揃っていたとしたら見つけた池野氏、そしてリゾナーレはとても幸運なのかも知れない。
土地の土壌を変えることはできない。重要なのはこの地に何を植えるかということ。池野氏が選んだのは甲州ではなく、シャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、そしてもともと日本に自生しているヤマブドウ種だ。
池野氏が目指すワインについて聞いてみた。