フレンチ/全国のフレンチ

マツシマ(神戸)(4ページ目)

神戸は三ノ宮にある小さなフレンチ。若き料理人、松島氏の繰り出す料理は静かなエネルギーに満ちている。これまで見た中で最も大きなアスパラはここだけの季節限定料理だ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

神戸牛「吟」

さて、そこそこお腹一杯にはなったのだが、どうしても行ってみたいステーキハウスがあることに気付いた。「吟」。年配の叔母様が一人カウンターに立つ神戸牛専門店だ。フレンチガイド記事初の鉄板焼き。ということでフレンチではありません。悪しからず。
吟
加納町交差点のすぐ近く

マツシマを出た後、「お腹が空くぞ、ステーキも旨いぞ」と念じて坂を上り下りしながら歩いたり走ったりしていると、不思議や不思議、もう少し食べたくなるのだから人間の体はほんとうによくできている。

この店は演劇集団キャラメルボックスの製作総指揮加藤昌史氏が最初に取り上げたことがきっかけで知るようになった。この古びたカウンターに各界著名人が集う理由は、その肉質と値段と、女将さんの人柄にあるのではないだろうか。おしゃれもなんでもない普通の鉄板焼店なのが不思議な力が漲っている。

女将さん、最初はちょっと無愛想である。愛想のよさを求めるならコミュニケーションのプロがいるホテルの鉄板焼きに行けばいい。しかし、縁あって吟のカウンターに座った以上、最初は襟をただし凛とした姿勢で「女将さん」と「肉」に向き合わねばならない。しかし、それも最初のうちだけ。
トロワグロ
手さばきを見ているのも楽しい

軽やかな手さばきでサーロインを焼き上げ、さくさくっと切り分け、ゆるゆると運ばれる。柔らかくてとろけそうって肉ではない。噛んで味のするしっかりとした肉だ。脂身はくどく感じる一歩手前で外されている。なので飽きが来ない。そうでないとフレンチフルコース食べた後にサーロインのフルコースを食べられるわけがない。
トロワグロ
これ以上もこれ以下もない神戸の牛

ラストスパートは牛のジュを絡めたガーリック焼飯だ。どんなにお肉でお腹が一杯になろうともこれはすいすいと食べられるのだから、なんなんだ、人間の食欲ってのは。塩加減もちょうど良くまとめられ、気がつくともう鉄板はもとの綺麗なままに。
焼飯
ゲストはこれでひっくり返って悶絶するという恐るべき焼飯

神戸に行くたびに吟に行きたいが、悩みもある。吟に行ってからフレンチに行くか、それとも今回のようにフレンチの後に吟に行くか。
メニュ

吟(神戸三宮は加納町)
神戸市中央区加納町3-10-12
地図
電話   078-242-4083
営業時間 17:00~22:00(要予約)
日休(祝日の場合は翌日休)
予算 肉の重さにもよりますが1万円もあれば十分です。

加藤氏が紹介している吟はこちら
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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