フレンチ/東京のレストラン

ブノワ(青山)(3ページ目)

親会社の破綻から3か月の冬眠を経てスピード復活したブノワ。トラディショナルガストロノミーの真髄を感じさせる料理を繰り出すのはモナコからやってきた必殺仕事人「ケイコジマ」だ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

眩暈を覚えるほどのソースの力

フランス料理
このブイヨンはぜひ味わいたい
様々な野菜をしたためた鶏のブイヨンはやや辛めに仕上げられるものの、その余韻はニースの海岸線のように長いものだ。6時間ほど煮込んだというスープは透明感があり、鶏の持つ味わいがすべてに亘ってスープに凝縮される。こうした手間隙のかかる伝統的なフランス料理は今は少ないかも知れない。だからこそ新鮮さがあり、卓越した技術で作り出されるブイヨンはひときわ印象に残る。欲を言うとスープに浮かぶ野菜のボリュームがもう少し欲しいところか。


フランス料理
色合いにも地中海のエスプリを感じる
ポシェ(茹でる)されたオマールに添えられたのはリンゴとキャベツのファルシ。これは新生ブノワを象徴すべき料理かも知れない。オマールの旨みはともかくソースが強烈に味覚を刺激する。皿から沸き立つ力は凄まじく、久しぶりに目の前の料理に過度に集中する自分がいる。つけあわせのファルシも楽しい味わいが散りばめられ、オマールのソースに正確に纏わりつく。実に沸き立つ力を感じる料理だ。ああフランス料理はやっぱりソースにある。


フランス料理
メインも決め手はソースにある
メインはサーロインのポワレ。柔らかなサーロインに寄り添うソースボルドレーズは複雑な風味と味わいを醸し出す。単純な赤ワインソースにオニオンの風味を加えて奥行きを感じさせる、予想以上に満足感を得られる料理。
デザートはルイ・キャーンズから連れてきたスペシャリテ。カカオとキャラメルの味わいが溶け合い、家に帰るまで余韻に浸るとこができるほど。クラシックなデザートの中にさまざな味覚を感じ取ることができるので、ゆっくりじっくり味わいたい。

最後にワインリストはまだまだ途中だそうだ。高額ワインを見て眩暈を覚えたらシェフソムリエの古川善信氏にちゃんとリクエストとしよう、「コース料理くらいの値段の美味しいワインはないか?」と。

デザート
複雑な味わいが閉じ込められている
様々な経緯を経て再び開店したブノワ。かつて飛行機事故で一命を取り留めたアラン・デュカスの運の強さもあるのだろうか。しかしレストランは間違いなく「人」で動いていく。美味しくなるのもそうでなくなるのも「人」で変る。

再開店とは言え、以前のブノワとはシェフもメニューも変った新ブノワ。コンセプトチェンジした新しいレストランとしての小島景シェフの料理がこれからどんな変化、熟成を見せていくのか実に楽しみである。

フランス料理
パンもいくつかの種類が用意される
ブノワ
予約電話:03-6419-4181
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山10F
地図
営業時間
L 11:30~16:30(LO.14:30) 
D 17:30~23:30(LO.21:30) 
カフェ 11:30~23:30(LO.21:30)
年中無休

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