フレンチ/東京のレストラン

対談 ~アロニア・ド・タカザワ~

「アロニア・ド・タカザワ」の高澤シェフとの対談記事です。シェフが料理をはじめたきっかけや、普段は聞けない裏話などを、こと細かくご紹介します!

執筆者:来栖 けい

「アロニア・ド・タカザワ」の高澤シェフとの対談!

対談風景
対談風景。「アロニア・ド・タカザワ」の店内にて。
来栖:2005年9月にオープンする前は、どこかでシェフをされてたんですか?

高澤:実はよくそういったことを聞かれるんですが、ボクは独学でやっていて、どこそこで修行した、といった経歴は持っていないんです。あるにはあるんですが、逆にそれを誇示したいと思わない。ベースはフレンチなんですが、和食やスパニッシュとか焼き鳥とか、まんべんなくいろんなものを作ってきました。ラーメンも作ったことありますね。それから、意外と年齢的に若いうちから料理長をさせてもらっていたので、正直下積みとかそういう経験はあまりないんです。

来栖:食のガイドブックをみると、必ずと言っていいくらいシェフの修業先とか出身地がありますよね。でも正直ボクにとっては、そんなことどうでもいいんですよね。そういうことを書くんだったら、もっと味の事を書きたいなって。

高澤:肩書きで料理を食べるんじゃなくて、料理そのもので判断してほしいと思います。「あそこでやってたからこういう料理なんだ」と言われる方もいらっしゃる。ひとくくりにしてほしくない、と思いますね。

来栖:実際、このレストランを見るとよくわかります。前回も今回も、とにかくおいしい! そして楽しい! 見せ方がすごくうまいな、って思いますね。ここはジャンルで言うと、何になるんですか?


米沢牛と赤ワインの要素
トリュフ、ヴァニラ、シナモン、丁子、ブラックペッパー、つつじの花の香りを盛り込んだ「米沢牛と赤ワインの要素」。
高澤:一応、モダン・フレンチというんでしょうか。どちらかというと最近はスペインに近いんですけどね。スペイン料理というと、「パエリア」っていうイメージの方がまだ多いので、誤解を招いてしまうんです。だからよく「タカザワ料理」とも言われますね。いろいろな要素、エッセンスがありますからね。供出はスペイン要素があったり、でも根底のテクニックはフレンチであったり。素材はドメスティックにこだわって、お客様が楽しめる料理を心がけています。


来栖:自分の中での制約は一切なく、自分の好きなように、ということなんですね。

高澤:「こうしなければ」というのはありません。ただ、決して創作料理ではないんです。

来栖:わかります。一般的な創作料理に、おいしいものってほとんどないですからね。

あんみつミルフィーユ
餡、牛乳、苺、蜜柑、寒天をミルフィーユ状に重ねて固めたものと、プラムのソルベ、黒蜜のアイスクリームを盛り合わせた「あんみつミルフィーユ」。塩えんどうの代わりにわかめの塩気を効かせてある。
高澤:そうですね。来栖さんのように分かっていらっしゃる方はいいんですが。いろいろな手法を使いながらも、その中でも筋を通していると自分では思っています。ひとつあるのは、外国人が見たら、日本の素材をこう使うのでは、というのは意識しています。そういう時、モダンな感じのものができることが多いんです。再構築する感じですね。

来栖:あ、でもそうですね。コラボをしたら、絶対に和食っぽいものは出てこないし、こういうものになると思います。

高澤:良い部分を取り出して融合すると、洗練されてくると思うんです。余計なものがそぎ落とされて。


次ページは、高澤シェフが意識していることについて。
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