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素材と技術を超えるもの(フードフランス)(3ページ目)

今回のフードフランスはさすが08年度本場フランスミシュラン二つ星レストラン。素材、技術の他にとても大事なものがあると気付かせてくれるでしょう。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
ディナーメニューからアスパラガスのスープ

シェフの嫌いだったもの

「子供の頃、お父様の作った料理で苦手なものはなかった?」と聞くと「そういえば羊の脳みそを使った料理が苦手で、姉と一緒に噛まずに飲み込んでいたんだ。残すとすごい怒られたからね!(笑)」それを聞いたパパ、マキシムは「おいおい、そんな話は初めて聞いたぞ、参ったなあ~」とみんなで大笑い。

お姉さまがオーヴェルジュを取り仕切り、弟と父でレストランを切り盛りする。たくさんの孫達が走り回り、家族の賑やかな様子が話しているだけで伝わってくるのはとても不思議だ。

フランス料理
星が増えていくとデザートもどんどん増えていく気がする
そうか、この屈託のなさ、笑い、ユーモア、そういったものがあたたかな料理に「力」を吹き込んでいるに違いない。素材はもちろん大切だ。技術はもちろん必要だ。しかし、私はそれ以外に大事なことがあるのを忘れていたのかも知れない。


最後に星を獲る獲らないに関わらず、変りのない料理に対する哲学は何か、と聞いてみた。親子揃って瞬時に「それはいい素材を選んで使うことだ」と話す。今回の料理であれば春と夏を表現できる素材を選び、自分たちの技術で皿を彩るということだ。近くの山に入れば新鮮なハーブやキノコがたくさんあるという。それを自分たちの手で摘んで料理に使う。こうした恵まれた環境がある彼らの仕事場がうらやましくてしょうがない。

フードフランスを楽しみながら、フランス料理の奥の深さを改めて知ることになる。今回のルネ&マキシム親子の料理は7月8日まで青山はブノワで楽しむことができる。ランチもディナーも十分に満足できるものだ。

彼らが営むオーヴェルジュ、「ラ・ブイット」のホームページはまるで映画のような洗練された必見のサイトである。ぜひご覧いただきたい。私はこうして原稿を書いているしばしの間、アルプスの麓にいるかのような錯覚に包まれていた。

フランス料理
シブレットオイルが印象的なサンジャック
フードフランス
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山 10階 ブノワにて
7月3日(木)~7月15日(火)
ブノワの紹介記事
予約Tel:03-5468-0881
ランチ  8,400円 (税・サ込)
ディナー15,750円 (税・サ込)
(料金には食前酒ならびにコーヒー又は紅茶付)


ちなみにブノワは料理長がマッシモ・パスカレッリ氏からケイ・コジマ氏に代わったばかりだ。このケイ・コジマ氏、知る人ぞ知る料理人でモンテカルロの三ツ星レストラン、ルイ・キャーンズにてスーシェフを勤めていた方。世界中から集まるセレブリティを唸らせた料理がブノワで味わえるとなると楽しみでしょうがないのだ。
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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