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シンプルゆえに衝撃を受ける料理だ |
覚醒する味覚「メロンのカルパッチョ」
様々な味覚と食感を備え持ったアミューズにまずびっくりし、その驚きをもったまま前菜の「メロンのカルパッチョ」で自分の持つありとあらゆる味覚が沸き立ち、そして驚きの声を上げる。フロマージュ・ブランのソースでほんのりと舌を起し、バジルのビネグレットで姿勢をただし、スライスされたメロンで飛び上がる!そんな感じなのだ。メロンにはソテーされた黒オリーブの粒が僅かに忍ばされ、それがさらに驚きを与えるアクセントとなる。非常にシンプルこの上ない料理だが、人間の持つ味覚の複雑さに気付かせてくれるクオリティの高い一皿だ。
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見本のようなフォアグラのソテー |
ディナーメニューにある「フォアグラとトウモロコシのガレット」はボリューム感のある豪快な料理に仕上がる。厚みのあるフォアグラとほんのりと甘みを携えるガレットとの相性はとてもよく、そこにヴァンドペイながらブノワでしか味わうことのできない面白いシャルドネが味わいをさらに高めることになる。(このワインについてはソムリエにぜひ聞いてみて下さい)
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記憶に残る料理の一つになった |
ランチのメインに用意されたのは贅肉をすべてそぎ落とし、シンプルさの中に崇高さを感じる料理だ。「ブルターニュ産地鶏旨肉のソテー」。極上の鶏肉に油を使わず、じっくりゆっくりと火を通し、蓋を空けたり閉めたりしながら中の温度をコントロールしながら最後はかりっと焼き上げるという工程を経る。ぱさぱさ感は一切なく、ほんのりと旨みが閉じ込められ、ゆっくりとした足取りで口の中で広がっていく。この料理は高い技術のみが実現する以外何ものでもない。参った。
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このデザートもなかなかの味だ |
デザートの温かいムース・オ・ショコラも満足のいくもの。食後の小さなデザートもスパイスの効いたパンナコッタやイチゴのスープなど一つひとつがこれまであまり感じたことのない味わいを運び込む。特にイチゴの水分のみ抽出し、そこに僅かに砂糖を加え、フィルターで軽くろ過したジュースは後味の余韻が異常に長い不思議な「料理」だ。