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薪が燃える音も心地よく響く |
暖炉の火を眺めながら
「ラ・シュミネ」は隠れ家レストランと言うには余りにも軽すぎるし、知る人ぞ知るレストランと言うにはいささか言葉が重い。この存在をどう表現したらいいのだろう。
巨木に囲まれたエントランスの横には大きなフランス国旗がはためく。そしてぎゅっと重いドアを押した瞬間から言いようのないゆったりとした時間が流れ始める。アンティークな家具に囲まれた先には煌々と火を灯す暖炉(シュミネ)が鎮座。その日はやや寒かったこともあり、暖炉の温かさを身に染みこませて、シャンパーニュの泡立ちを楽しむ。
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カウンター席では鉄板焼も楽しめる |
オープンキッチンになっており、鉄板焼きも楽しめるカウンターになっている。意外に小さな空間で3組12人も入れば一杯になってしまうかもしれない。
花形氏は札幌や東京のレストランで経験を積み、中でも代官山ラ・ヴィーナスで一世を風靡し一時代を築いた大渕康文シェフ(現「御魚 大渕座」)の門下生と聞く。ちょっとコワモテと聞いていたが、実に気さくで、屈託のないナイスガイ。(正直に書くと、かなりかっこいいです、マジで)。
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甘海老の余韻が長く残る一皿 |
エイのブランダードはほのかな海の香りが閉じ込められた小さなアミューズ。そして甘エビと紅子大根は「調和」と言う言葉を改めて発見できる一皿だ。 慎ましやかに敷かれたラタトゥイユに乗る地の甘エビ。ねっとりと、しっかりと味覚を刺激するところに紅子大根のシャープな味わいが溶けていく。
アペリティフから続くロゼのシャンパーニュ引いては消え、消えては寄せる波のように料理の後味を追い求める。
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やはりフレンチの醍醐味はソースにある! |
北海道産鮟鱇のポアレは軽くブイヤベース仕立てになっているもの。鮟鱇は大洗と下関と思っていたが小樽でもこの時期まで獲れるそうだ。ぷりっとした身の部分の舌触りが実に心地よい。味わい豊かなソースは優しく鮟鱇を包み込む。ああ、旨い!
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食べ応えのある一皿だった。 |
青紫蘇のシャーベットで口直しの後、メインはラムのロースト。このオーソドックスな一品に料理人のこだわりが詰められている。当然のように火は色合いよろしく均等に入り、ソースとのバランスも申し分がない。マスタードがちょっとしたアクセントを加え、記憶に残る料理のスパイスとなる。