フレンチ/全国のフレンチ

島原と熊本のフレンチ(4ページ目)

島原の風と海、熊本の水。九州には土地の食材を見事にフレンチに変える力がありました。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

日本料理
地元の人に愛される割烹千代

番外編・山口は萩に

明治維新発祥の地、萩。東京から約1000キロ離れたこの地から、新しい日本を創ろうとした志士がたくさん生まれ、明治維新の原動力となり、そして近代日本の基礎作りまで担った人材が多く輩出されたことは余りにも有名だ。

吉田松陰はその中心人物。自身の松下村塾において伊藤博文や高杉晋作、山県有朋らを教育し、自らも命を投げ打って日本の将来を見つめ続けたところでもある。

初めて萩を訪れたのは16の時だ。東萩の駅前は賑やかで、松下村塾も人であふれていた。夏の日差しはきつく、萩全体からとてつもないエネルギーが放出されていたことは未だ記憶に鮮明に残る。その後幾度となく萩の空気を吸いに訪れたが、今回は15年ぶりくらいかも知れない。

街は小さくなり、駅前はとても静かだった。当時素泊まりで泊まった松下村塾に隣接したところにあった民宿は看板のみ残り、中は物置になっていた。朝8時、誰もいない境内。ピンと張り詰めた空気と時折流れる風。

日本料理
日本海の魚介類が新鮮だ
やっぱりここにはエネルギーがある。日本を変えたとてつもないエネルギーが今もある。

知人の紹介で訪れたのは「割烹千代」若きご主人が切り盛りする日本料理の店だ。日本海の海の幸が伝統的な日本料理のスタイルで次々と並ぶ。特にアオリイカの石焼には驚いた。新鮮さと味わいの濃さに、地のものをいただく有り難味を深く感じる。ご家族で醸し出す和気藹々とした雰囲気も居心地の良さを膨らませる。

萩焼
窯を案内して下さる野坂先生
そして萩と言えば萩焼。シンプルな色と使い込む毎に色合いが変化する「萩の七変化」が特徴の名品だ。窯元の野坂和左氏のもとを訪れ、窯を見せていただく。山間に何段も連なるように重なる窯は壮大だ。この野坂氏、ミシュランの3つ星を取り、今や世界的に有名になった「すきやばし次郎」にも納めているのだから実力は証明済み。次郎のご主人はかならず萩までいらして品定めをすると言う。

明治維新発祥の地、萩焼、古き町並みが適度な賑やかさと夜の静けさと、朝の爽快さを併せ持つ、日本の古き街のまま発展して欲しいと願う。

何を隠そう、私にとって萩は住んでみたい街の筆頭なのである。

割烹千代
山口県萩市今古萩20-4
0838-22-1128
営業時間 11:30~14:00 17:00~22:00
日曜夜、月休
但し月曜日祭日の場合は月夜、火曜
駐車20台可
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