フレンチ/フレンチ関連情報

食べることを知る時代に向けて

フードコミュニケータ、柴田香織さんが提唱・実践する「フードリテラシー研究会」の活動のことについてご紹介させていただきます。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
会場は広尾のプティポワン

フードリテラシー研究会

かつてレストランについて調べようとすると情報は雑誌や専門誌からしか得ることができなかった時代があった。それからたった10年でインターネットを使って様々な角度から多くの情報を得ることができるようになった。それは革命的ですらある。それでも信頼できる口コミ筋からの情報が一番なのだが、そういったいろんな情報が雑多に集まってくるうちにいつしか私たちは、単に集まってきた情報だけに囲まれて、考えることを放棄してしまっていないだろうか。

と、いささか難しい内容を議論するつもりはない。ただ、昨年位からどうもおかしいなあと思うのが、どのメディアを見ても「料理を表現する」ということにおいて、同じような表現が目に付いてしまうことだ。食べものの表現なんて千差万別なのに何故かみな同じ表現言葉が並び、これなら食べていなくたって書けるよなあ、という気になってしまう。まさか最近話題になった「使い回し」が食表現の分野にも来ているとは思いたくはないが。

そうは書いてはもたものの、自分自身に対しても偉そうなことは言えない。「この料理はどうやってできるのだろう」「この旨い野菜の味の引き出し方のコツはどこにあるのだろうか」大体は想像がつくが、実際に聞いてみないとわからないことも多い。特に男は見栄っ張りだから、ついつい知ったかぶりをしてしまう。

これだけたくさん、いろんなものを食べているのに、その素材や調理方法、文化的背景など意外と知らないことが多い、ということに今更のように気がついたのである。

ワインと同じで、その作られた背景、歴史、製造方法や作り手の個性などを知るとよりワインを楽しむことができるのと同じなのだ。

「もっともっと深く食を知る仕組みを作れないものか」と考えていた折、フードコミュニケータの柴田香織さんからタイミング良くご案内をいただいた「フードリテラシー研究会」。今回はその活動の一環である「調理の味わいとリテラシー編(テーマ食材:豚肉とキャベツ)」について少しばかりご紹介したい。
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